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若き経済学者のアメリカ ≫ Art

やなせたかしと、高知県香美市のアンパンマン・ミュージアム

2013年の大きなニュースの一つとして、やなせたかし氏が亡くなったことが挙げられるだろう。誰もが知っている「アンパンマン」の背景にある、誰もが知っているわけではない著者の絶望と希望。それが1月5日(日)放送予定のNHKスペシャル「みんなの夢まもるため ~やなせたかし "アンパンマン人生"~」のテーマだ。


国民的キャラクター「アンパンマン」の生みの親、やなせたかしが94歳の生涯を閉じた。アンパンでできた顔を弱った人に食べさせる可愛いヒーローは、幼児向けの作品だと思われがちだが、その底流には、絶望の連続だったやなせの人生が色濃く投影されている。若き日の過酷な戦争体験。長くヒットに恵まれず苦悩した日々。妻を襲った不治の病…。やなせが作詞したアンパンマンのテーマには「なんのために生まれて なにをして生きるのか」「そうだうれしいんだ生きるよろこび たとえ胸の傷が痛んでも」等々、深い人生哲学が込められている。



僕は昨年の夏、アンパンマンミュージアムを訪れた。現在では全国に4ヶ所(横浜、名古屋、仙台、神戸)でオープンしている同ミュージアムだが、その本家本元が今回僕が行った、やなせ氏の出身地・高知県香美市にある「香美市立やなせたかし記念館 /アンパンマンミュージアム」である。


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2014/01/03(金) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

米国アマゾン、美術品マーケットプレイスを開始

米国アマゾンCEOジェフ・ベゾスが個人でワシントン・ポストを買収したと報じられたその背景で、米国アマゾンが始めた新たなサービスが、美術品のマーケットプレイス "Amazon Art."

(Tech Crunch)Amazon.comが、新たに「アートストア」(fine art store)を開設している。マーケットプレイス・パートナーたちが利用する方式だ。既に作品は4万点以上が登録され、扱っているアーティストは4,500人以上で、参加ギャラリーないしディーラーの数も150以上となっているのだそうだ。145万ドルで販売されるモネの「L’Enfant a la tasse, portait de Jean Monet」や、485万ドルの値段がついているノーマン・ロックウェルの「Willie Gillis: Package from Home」等、数百万ドルもする超有名作品も登録されている。

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2013/08/13(火) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

美術品盗難事件と来歴のミステリー

2000年に世田谷の住宅から盗まれたルノワール作品が、サザビーズの競売で1.5億円で落札されていた、という先日のニュース。

(東京新聞)警視庁成城署が窃盗事件として捜査したが、容疑者は特定されていない。海外には盗難美術品のデータベースがあるが、この油絵は登録されておらず、競売会社の盗品チェックもすり抜けたとみられる。盗まれた名画をめぐる国際協力の在り方に課題を残した。(中略)男性は返還を求める意向だが、購入者の特定や返還請求の期限の問題があり、取り戻すのは難しい。サザビーズは取材に対し、顧客情報は極秘として出品者や落札者を明らかにしていないが「(出品時の)調査では出品者は正当な持ち主で、保証もあった」と回答した。出品者は〇〇年に絵を取得したといい、盗まれてから短期間のうちに買い手が付いたとみられる。



盗まれた美術品が闇マーケットで取引されることは多々あるだろうが、これだけの金額がつく作品が、オークションハウスを通して堂々と売買されるということは、そう多くはないように思う。犯人(グループ)がそれだけ万全に「来歴」を偽ったということなのだろう。
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2013/08/11(日) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

若冲が来てくれました in 福島

昨年ワシントンのナショナル・ギャラリーで開催された伊藤若冲展。その世界的なコレクターとして知られる、米国カリフォルニアのプライスコレクションが、東日本大震災復興支援ということで東北を巡回しており、先月末から福島県立美術館で開催中のようだ。

・伊藤若冲@ナショナル・ギャラリー


2000年の京都展で爆発的ブームとなり、2006年には東京をはじめ全国で展覧会が開かれたが、次にいつ日本で観られるか分からないコレクションなだけに、以前の展示を見逃した方は、ぜひ福島へ!9/23まで。

「プライス夫妻が語る、若冲の美」

「村上隆が語る、若冲の魅力」

2013/08/08(木) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

アメリカ史上最大の美術品盗難事件、いよいよ解決か

事件発生から既に23年が経過し、もう迷宮入りかと思われていた史上最大の美術盗難事件が、ここにきてついに全面解決へ向けて大きく前進したようだ。

ロイター)米連邦捜査局(FBI)は18日、ボストンの美術館で1990年に起きた米国史上最大の美術品盗難事件について、容疑者を特定したことを明らかにした。同事件は23年前の3月18日にイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館で発生。警官を装った2人組が、レンブラントの「ガラリアの海の嵐」やマネの「トルトニ亭にて」、フェルメールの「合奏」など計13点を奪い、被害総額は5億ドルに上った。



以前「美術盗難事件 vs FBI美術捜査官」で書いたように、本書『FBI美術捜査官』は、美術盗難事件を追ったFBIの活動を描いたノンフィクション。今回のガードナー美術館の盗難事件では、FBIの組織的へまによって千載一遇の逮捕のチャンスを逃し、解決の糸口を掴みそこねたという点が一番の読みどころだろう。歴史にもしもはないのだけれど、あのときもっと組織立った動きが取れていれば、こんなにも長いこと未解決とはなっていなかったはずなのだ。


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2013/03/23(土) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

伊東豊雄とプリツカー賞とこれからの建築

今年のプリツカー賞を伊東豊雄が受賞したという、とても嬉しいニュース。2010年には、妹島和世と西沢立衛のユニット SANAA が受賞したばかりであり、建築界における日本人の活躍ぶりを改めて見せつけられる思いだ。

日経)建築界のノーベル賞といわれ、優れた建築家に毎年贈られる米プリツカー賞の今年の受賞者に日本の伊東豊雄氏(71)が選ばれた。同賞を主宰するハイアット財団が17日発表した。日本人としては丹下健三氏、安藤忠雄氏らに続き6人目。ハイアット財団は「斬新な発想と素晴らしい建物づくりの組み合わせ」をたたえた。



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2013/03/22(金) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

映画『レ・ミゼラブル』がいいぞ!

久しぶりに観に行った映画は『レ・ミゼラブル』。ヒュー・ジャックマン演じるジャン・バルジャンと、それを執拗に追いかけるラッセル・クロウ演じるジャベール警部。この二人の熱演と熱唱に思わず目(と耳)が釘付けにされた。

アカデミー賞レースのトップを走っているのは『リンカーン』らしいけど、壮大な物語と荘厳な音楽という点では『レ・ミゼラブル』が間違いなく圧倒しているだろうね。ぜひ映画館へ!




2013/02/01(金) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

ブラジルの新たな時代、リオ・デ・ジャネイロ、そしてオスカー・ニーマイヤー

ニューヨーク・タイムズ紙トラベル・セクションの特集 "The 46 Places to Go in 2013"。今年絶対に行きたい都市の第一位に選ばれたのは、リオ・デジャネイロ。

With the 2014 World Cup and 2016 Summer Olympics (plus an oil boom) providing the impetus, the tropical city perhaps most famous for its Carnival hedonism is on its way to becoming a more sophisticated cultural hub.




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2013/01/28(月) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

漫画とビジネスと佐藤秀峰

前に書いたように、アート界にカネの話を持ち込んだのが村上隆であるならば、漫画界でカネの話を赤裸々に語るのが、『ブラックジャックによろしく』『海猿』等の人気漫画家・佐藤秀峰だ。

これまでに何度も、原稿料の増額や作品の二次使用権等について、出版社側とタフな交渉を続け、その度にブチ切れてはサプライズな暴露を繰り返してきた(関連記事およびインタビュー)。そんな作者が、「売れない、食えない、儲からない」が常識だった漫画界に、非常識な闘いを挑んだ記録がこの新刊『漫画貧乏』
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2012/11/30(金) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

今年もまた、森の中の音楽会

昨年に引き続き、今年も森の音楽会に行ってきた。何しろ格安のお値段でレベルの高い演奏が聞けるのだから、これはもう頑張って行くしかないのである。

今年聞いたのは、映画音楽の作曲家として知られる John Williams。彼が手がけた映画作品を挙げると、スティーブン・スピルバーグ監督の作品ほぼ全て、スター・ウォーズ(もちろんオープニング・ファンファーレや、あのダース・ベイダーの登場シーンの音楽も)シリーズ、そしてハリー・ポッターシリーズと、まあ錚々たるヒット映画に関わっているのである。

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2012/11/26(月) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

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