若き経済学者のアメリカPresident ≫ オバマとアメリカの医療保険改革

オバマとアメリカの医療保険改革

9日夜に行われた、オバマ大統領の議会演説を聴いた(英文原稿)。大統領就任以来、最も重要になるものとして全米の注目が集まっていたものだ。オバマ政権が最重要課題の一つとして掲げている医療保険制度改革に対しては、共和党からだけでなく、一般市民からの反対の声も高まり、大統領支持率もじりじりと下降する中での演説だったのだ。

スピーチの内容はいつも通り大いに勉強になったのだが、今回驚いたのは議員の反応。あれだけ反対している政策なのだから、あからさまな野次やブーイングはなくとも、もっと批判的な姿勢で冷めた視線で大統領の話を聴くのではないかと思っていたのだ。

ところがこれは一体何なのだ、最初から満場の拍手で大統領を迎える議会。その上、ところどころでスタンディングオベーション。スピーチが盛り上がるところでは、議員の体温も議場内の気温も急上昇だ。そのお行儀のよさといったものが、何ともびっくりであり、気味悪く感じられたわけである。未だによく分からない現象なのだが、分からないなりにいくつか理由を考えてみた。

1.オバマのスピーチがそれだけ魅力的説
共和党員は、実は野次を繰り出すタイミングまで計っていた。しかしスピーチが余りにも魅力的で、ウッカリ聞き入ってしまった。当然この後は近くの居酒屋で反省会。今後どうすればウットリ聞き惚れずに済むか、ただいまモーレツに研究中。

2.私のほうもたまには振り向いてよ説
最初から本気でオバマを批判する気はなかった。ただ共和党員も、たまには大統領が自分に向かって話して欲しかっただけなのである。その心は、恋愛でいうならば、「ねぇバラク、私の目を見て愛を語ってよ」に近い。今回の熱烈メッセージで、そんな気持ちも十分満たされる。

3.党派を超えて大統領を支持する説
大統領選では激戦を繰り広げる両党も、いったん大統領が決まれば、(基本的には)その人を敬い、従いついていくと言われるアメリカの政治姿勢。これを大いに反映したもの。この議場でブーイングしたりするのはそのモラルに反するために、共和党員は内心不満一杯ながらも我慢。当然あの拍手もニセモノで心が篭っていないのだが、見破るのは至難の業。議員に必須のスキルなのである。

4.大統領と共和党の共謀説
そもそも、平日の夜8時にテレビ中継というのがオカシイ。絶対アヤシイ。つまり、当日のシナリオは大統領側と共和党側で、あらかじめ共同で書かれていたのである。まさに「8時だヨ!全員集合」ばりの国民的バラエティに仕上げるために。もしくはプロレス。筋書きのあるドラマ。だいたい議場への入場シーンは、まったくもってプロレスの花道と同じではないか。実況のシャウトは当然、「青コーナー、145パウンド~、オバマ・ザ・デモクラッーーーーーット!!」

5.テレビ生中継モニタリング説
ゴールデンタイムの全米生中継でカッコ悪い姿は見せられない。だから共和党員も国民の前では、大統領に従順なフリをしているだけだった、というモニタリング効果。だから、カメラがOffになった瞬間、議場は荒れまくった。殴る蹴る当たり前の場内大乱闘になったことを、国民は誰一人知らない。アメリカの富裕層向け高度医療のおかげでケガや傷は一夜で回復。そんな大金払えなかった議員は、今回の公的保険の被保険者第一号に(こっそり)認定。当然、政策反対から支持側にコロリと変わる。

こうしてオバマは、懸念された議会演説を乗り切ったのだった。とりあえず、今後このドラマがどう続くか要注目である。支持率は下がっても視聴率は上がる。つくづくよくできたドラマである。






2009/09/11(金) | President | トラックバック(0) | コメント(0)

«  |  HOME  |  »

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL
http://theyoungeconomist.blog115.fc2.com/tb.php/124-9458470b
 |  HOME  |