教科書について何度かオススメを聞かれることがあったので、個人的に読んでよかったものや面白かったもの、使って役立ったものをまとめておく。新学期、がんばっていきましょう。(教科書に取り組む前の入門書は「経済学の定番入門書」で紹介)
<目次>
1.ミクロ経済学(学部初級~大学院)
2.ゲーム理論(学部初級~大学院)
3.マクロ経済学(学部初級~大学院)
4.統計学・計量経済学(学部初級~大学院)
5.経済数学
<目次>
1.ミクロ経済学(学部初級~大学院)
2.ゲーム理論(学部初級~大学院)
3.マクロ経済学(学部初級~大学院)
4.統計学・計量経済学(学部初級~大学院)
5.経済数学
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1.ミクロ経済学
【学部初級】
いま世界で最も影響力(コラムを通した発言力?)のある経済学者のクルーグマン。彼の手によるミクロ入門書は間違いなくオススメできる一冊だ。彼のブログ/コラムと合わせと読むと面白さが増すだろう。ロングセラーのマンキューも定評がある。もちろん彼のブログも要チェックだ。

八田達夫『ミクロ経済学Ⅰ』は副題 <市場の失敗と政府の失敗への対策> の通り、数式よりも現実の経済政策に力点を置いた実践的な入門テキスト。日本の雇用環境や住宅問題等、身近な政策の背景にあるロジックが経済学で説明されていく。
その中でも、特にいま読む価値が高いのが第6章「規模の経済:独占」。日本の電力会社を題材に、独占の理由と弊害、その対策として(1)国有化、(2)料金規制、(3)企業分割(発電・送電分離、電力自由化)までが分析されている。東京電力および今後の電力業界再編を注視していく上でも抑えておきたい論点である。第Ⅱ巻は副題<効率化と格差是正>。

【学部中級】
奥野ミクロはトピックが新しく、かつ読みやすい。武隈ミクロは数学的記述に重きが置かれ、淡々と続いていく。好みは分かれるところだが、どちらも併用問題集が合わせて出版されており、問題を解いて習得するという使い方は変わらない。個人的にはすっきりとした構成とレイアウトの奥野ミクロが好きだ。もう少し幅広い内容を詳しく、という向きには、伝統とボリュームのある Varian の最新訳書を読み進めることをお勧めする。

【学部上級】
Varian がよいだろう。洋書にしてはコンパクトにまとまっており、記述も簡潔で読みやすく、個人的にも好きで読み込んだ一冊だ。同書の訳本もあるが、版が古くその上読みにくいので、原書に当たることを強くお勧めしたい。日本語のものを探すなら奥野・鈴村の『ミクロ経済学I・II』がよい。出版から年数は経っているものの、内容の充実ぶりは他に類書をみないものとなっている。

【大学院】
大学院テキストとなると、結局のところMWGしかない。他にも何冊か参照するものもあるが、あくまでもメインのMWGを補完するという形になるだろう。手強い相手だが、経済理論のエッセンスを吸収しようと思えばこれしかない。何度でも挑戦してその考え方を身に付けよう。1年目コースワークの秋学期と春学期の履修内容もご参考までに。
MWGの欠点は1995年の出版以来改定がなされていないということ。もし最新のテイストを感じたければ、2011年刊の "Advanced Microeconomic Theory" がその期待に応えてくれるだろう。

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2.ゲーム理論
【学部初級】
最初の一歩としては次の二冊がお勧めできる。梶井でゲーム理論のキーワードに馴染み、武藤で理論の基本的な使い方を学ぶのがよい。どちらも新書で手軽だ。梶井は読み物だが、武藤は数学を使う。といっても、四則演算のみなので直感で十分理解できる範囲である。新刊の松井『高校生からのゲーム理論』は、論文から絵本まで守備範囲の広い著者ならではの内容となっており、期待通り面白く読めた。

【学部中級】
渡辺の一冊は洋書並みに分厚いだけあり、細部まで丁寧に記述されている。カバーしている範囲も広く、これから本格的にゲーム理論を勉強するならば、事前に読んでおくとよい。その他には、梶井・松井の『ミクロ経済学 戦略的アプローチ』もお勧めできる。ミクロ経済学をゲーム理論の視点から書いたものであり、取り上げる題材の面白さもあって刺激的に読める一冊だ。

【学部上級】
定番のギボンズはやっぱりよくまとまっていると思う。静学/動学と完備/不完備情報の2軸で章立てしている構成も分かりやすく、日本語訳も自然で読みやすい。MWGのゲーム理論パートを補完するという観点からも、引き続き重宝することになる一冊だ。岡田のゲーム理論も定番であり、ギボンズより上級で数学的証明が厳密になる。そして何よりも、2011年刊行の岡田ゲームは、初版以来15年ぶりに大幅改定された新版である。

【大学院】
大学院レベルのテキストは何冊かあるが、個人的に好きなのはこの一冊。説明は厳密である一方、豊富な具体例や図が理解を助ける。コンパクトなソフトカバー、読みやすいフォントもグッド。その他のテキストとしては、FTかMyerson。1年目コースワークの春学期の履修内容もご参考までに。

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3.マクロ経済学
【学部初級】
ミクロ経済学と同じく、個人的な好みで判断してクルーグマンに一票、マンキューが次点である。マンキュー経済学が気に入れば、一つレベルが上のマンキューマクロ経済学「Ⅰ入門編」(2011年4月出版)および「Ⅱ応用編」(2012年3月出版)へと読み進めるのがよいだろう。

【学部中級】
「新しい」マクロというのがキーになる。大学院ではミクロ的基礎付けが行われたマクロが標準になるため、上級マクロに向けた準備の意味でも齊藤のこの一冊をお勧めする。同じく齊藤が共著者に名前を連ねる2010年刊『マクロ経済学』も充実した内容の中級書となっている。その他、最新のマンキューマクロは原書第7版。2009年発刊であり、金融危機以後に書かれたという点でも評価が高い。

【学部上級】
加藤『現代マクロ経済学講義』はDSGEを本格的に学べる唯一の日本語テキスト。マクロ経済学に興味があれば学部生のうちに読んでおくことを強くお勧めする。大学院講義にもスムーズについていけるだろう。ウェブサイトではMatlabのコードも公開されているので、それに馴染んでおくとなおよし。その他、長らく絶版となっていたローマー『上級マクロ経済学』が2010年に新版として待望の復刊。日本語で読める貴重な上級書だ。

【大学院】
大学院マクロの定番テキストは、LSとSLPの2冊。読み進めるのがしんどい点も多々あるが避けては通れない。ゆっくりじっくり、匍匐(ほふく)前進の気持ちで進むべし。必ずゴールに辿りつく。1年目コースワークの秋学期と春学期の履修内容もご参考までに。

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4.統計学・計量経済学
【学部初級】
統計学をゼロから学ぶなら小島、イチから学ぶなら鳥居をお勧めしたい。どちらも初学者を対象に懇切丁寧に解説している。まずはここで統計学の基本的な考え方を抑えておきたい。それにしても小島の著作は毎回バツグンに面白い。エッセイも好きだが、彼のカリスマ塾講師の経験がフルに活かされるのは、やはりこうした初学者向けテキストだろう。

【学部中級】
岩田の一冊はもはや古くなったものの今も読み継がれるロングセラー。読後に、統計学から計量経済学へと学習を進めるには、これまた定評のある山本『計量経済学』が第一歩に相応しいだろう。

【学部上級】
Stock & Watson は、計量経済学の理論そのものよりも、STATAを使いながら回帰式の意味や統計結果の読み方を学ぶのに最適。本書で実証研究の作法を習得したい。日本語テキストなら浅野・中村をお勧めする。どちらのテキストも、計量経済学の手法を「どう使えばよいか」、実際のデータに当てはめて「何が言えるのか」、が分かるようになる。(Stock & Watson 待望の最新第3版が2010年12月に登場)

【大学院】
理論ならHayashi、実証ならWooldridge がよい。"Mostly Harmless Econometrics" は以前書いたように何ともユニークな内容。代表的な論文を題材に、計量経済学のテクニックを解説するという形式でまとめられている。そのため、それら論文の理論的貢献が何なのかがよりクリアになる。"An Empiricist's Companion" というサブタイトルにある通り、実証論文を読む/書く際に携えておくといつも助かる一冊だ。1年目コースワークの秋学期と春学期の履修内容もご参考までに。(Wooldridge 最新第2版が2010年11月に登場)

2013年5月には、"Mostly Harmless Econometrics" に待望の翻訳『「ほとんど無害」な計量経済学―応用経済学のための実証分析ガイド』が登場。タイトルも表紙デザインもそのまま直輸入というのは、翻訳者たちのこだわりだったのだろうか。いずれにしろ、大学院向け計量経済学テキストの定番が一つ増えるのはいいことだ。

最後に統計ソフトの Stata について。計量経済学では Stata を使う人が多く、そのチュートリアルはオンラインでも多々無料公開されている。一方で、テキストとしてまとまったガイドブックが手元にあると大変便利なのも事実である。とくにおすすめできるのが以下の3冊。いずれも Stata 出版から出されているものであり、オフィシャルガイドと言えるだろう。
"Data Management Using Stata" は、データの入力/整理/保存/出力といった手続きを解説したもの。後から元データに戻ってクリーニングし直す、なんていう二度手間を省くためにも、分析前にきちんとやっておきたい大事なプロセスだ。"Microeconometrics Using Stata" は計量経済学の各種モデルを具体的に Stata で分析する手順が詳説される。計量経済学者の著者が書いたものだけに、細かい(けど大事な)点にまで言及されており非常にありがたい。"A Visual Guide to Stata Graphics" は Stata の多種多様なグラフ作成機能が一つずつ詳しく説明される。グラフ種類・色・形から、罫線・目盛・フォントまで、細かい点をどのようにカスタマイズすればいいのか、イライラしないで済む一冊である。

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5.経済数学
経済数学については次の2冊。カバーしている内容はほぼ同じ。書きぶりにクセがあるものの、個人的には岡田よりも神谷・浦井が参考になることの方が多かった。留学前にこのレベルの数学をきちんと理解しておくと、Math Camp や経済数学のコースワークにもスムーズに入っていけるだろう。最適化に関する日本語テキストならディキシット、洋書であれば Sundaram が昔も今も定番書だ。1年目コースワークの秋学期の履修内容もご参考までに。

【追記】2013年3月には、『経済学で出る数学: 高校数学からきちんと攻める』の改訂版が登場。この分野の新たな定番書となりそうな一冊だ。

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1.ミクロ経済学
【学部初級】
いま世界で最も影響力(コラムを通した発言力?)のある経済学者のクルーグマン。彼の手によるミクロ入門書は間違いなくオススメできる一冊だ。彼のブログ/コラムと合わせと読むと面白さが増すだろう。ロングセラーのマンキューも定評がある。もちろん彼のブログも要チェックだ。


八田達夫『ミクロ経済学Ⅰ』は副題 <市場の失敗と政府の失敗への対策> の通り、数式よりも現実の経済政策に力点を置いた実践的な入門テキスト。日本の雇用環境や住宅問題等、身近な政策の背景にあるロジックが経済学で説明されていく。
その中でも、特にいま読む価値が高いのが第6章「規模の経済:独占」。日本の電力会社を題材に、独占の理由と弊害、その対策として(1)国有化、(2)料金規制、(3)企業分割(発電・送電分離、電力自由化)までが分析されている。東京電力および今後の電力業界再編を注視していく上でも抑えておきたい論点である。第Ⅱ巻は副題<効率化と格差是正>。


【学部中級】
奥野ミクロはトピックが新しく、かつ読みやすい。武隈ミクロは数学的記述に重きが置かれ、淡々と続いていく。好みは分かれるところだが、どちらも併用問題集が合わせて出版されており、問題を解いて習得するという使い方は変わらない。個人的にはすっきりとした構成とレイアウトの奥野ミクロが好きだ。もう少し幅広い内容を詳しく、という向きには、伝統とボリュームのある Varian の最新訳書を読み進めることをお勧めする。



【学部上級】
Varian がよいだろう。洋書にしてはコンパクトにまとまっており、記述も簡潔で読みやすく、個人的にも好きで読み込んだ一冊だ。同書の訳本もあるが、版が古くその上読みにくいので、原書に当たることを強くお勧めしたい。日本語のものを探すなら奥野・鈴村の『ミクロ経済学I・II』がよい。出版から年数は経っているものの、内容の充実ぶりは他に類書をみないものとなっている。


【大学院】
大学院テキストとなると、結局のところMWGしかない。他にも何冊か参照するものもあるが、あくまでもメインのMWGを補完するという形になるだろう。手強い相手だが、経済理論のエッセンスを吸収しようと思えばこれしかない。何度でも挑戦してその考え方を身に付けよう。1年目コースワークの秋学期と春学期の履修内容もご参考までに。
MWGの欠点は1995年の出版以来改定がなされていないということ。もし最新のテイストを感じたければ、2011年刊の "Advanced Microeconomic Theory" がその期待に応えてくれるだろう。


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2.ゲーム理論
【学部初級】
最初の一歩としては次の二冊がお勧めできる。梶井でゲーム理論のキーワードに馴染み、武藤で理論の基本的な使い方を学ぶのがよい。どちらも新書で手軽だ。梶井は読み物だが、武藤は数学を使う。といっても、四則演算のみなので直感で十分理解できる範囲である。新刊の松井『高校生からのゲーム理論』は、論文から絵本まで守備範囲の広い著者ならではの内容となっており、期待通り面白く読めた。



【学部中級】
渡辺の一冊は洋書並みに分厚いだけあり、細部まで丁寧に記述されている。カバーしている範囲も広く、これから本格的にゲーム理論を勉強するならば、事前に読んでおくとよい。その他には、梶井・松井の『ミクロ経済学 戦略的アプローチ』もお勧めできる。ミクロ経済学をゲーム理論の視点から書いたものであり、取り上げる題材の面白さもあって刺激的に読める一冊だ。


【学部上級】
定番のギボンズはやっぱりよくまとまっていると思う。静学/動学と完備/不完備情報の2軸で章立てしている構成も分かりやすく、日本語訳も自然で読みやすい。MWGのゲーム理論パートを補完するという観点からも、引き続き重宝することになる一冊だ。岡田のゲーム理論も定番であり、ギボンズより上級で数学的証明が厳密になる。そして何よりも、2011年刊行の岡田ゲームは、初版以来15年ぶりに大幅改定された新版である。


【大学院】
大学院レベルのテキストは何冊かあるが、個人的に好きなのはこの一冊。説明は厳密である一方、豊富な具体例や図が理解を助ける。コンパクトなソフトカバー、読みやすいフォントもグッド。その他のテキストとしては、FTかMyerson。1年目コースワークの春学期の履修内容もご参考までに。


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3.マクロ経済学
【学部初級】
ミクロ経済学と同じく、個人的な好みで判断してクルーグマンに一票、マンキューが次点である。マンキュー経済学が気に入れば、一つレベルが上のマンキューマクロ経済学「Ⅰ入門編」(2011年4月出版)および「Ⅱ応用編」(2012年3月出版)へと読み進めるのがよいだろう。




【学部中級】
「新しい」マクロというのがキーになる。大学院ではミクロ的基礎付けが行われたマクロが標準になるため、上級マクロに向けた準備の意味でも齊藤のこの一冊をお勧めする。同じく齊藤が共著者に名前を連ねる2010年刊『マクロ経済学』も充実した内容の中級書となっている。その他、最新のマンキューマクロは原書第7版。2009年発刊であり、金融危機以後に書かれたという点でも評価が高い。



【学部上級】
加藤『現代マクロ経済学講義』はDSGEを本格的に学べる唯一の日本語テキスト。マクロ経済学に興味があれば学部生のうちに読んでおくことを強くお勧めする。大学院講義にもスムーズについていけるだろう。ウェブサイトではMatlabのコードも公開されているので、それに馴染んでおくとなおよし。その他、長らく絶版となっていたローマー『上級マクロ経済学』が2010年に新版として待望の復刊。日本語で読める貴重な上級書だ。


【大学院】
大学院マクロの定番テキストは、LSとSLPの2冊。読み進めるのがしんどい点も多々あるが避けては通れない。ゆっくりじっくり、匍匐(ほふく)前進の気持ちで進むべし。必ずゴールに辿りつく。1年目コースワークの秋学期と春学期の履修内容もご参考までに。


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4.統計学・計量経済学
【学部初級】
統計学をゼロから学ぶなら小島、イチから学ぶなら鳥居をお勧めしたい。どちらも初学者を対象に懇切丁寧に解説している。まずはここで統計学の基本的な考え方を抑えておきたい。それにしても小島の著作は毎回バツグンに面白い。エッセイも好きだが、彼のカリスマ塾講師の経験がフルに活かされるのは、やはりこうした初学者向けテキストだろう。


【学部中級】
岩田の一冊はもはや古くなったものの今も読み継がれるロングセラー。読後に、統計学から計量経済学へと学習を進めるには、これまた定評のある山本『計量経済学』が第一歩に相応しいだろう。


【学部上級】
Stock & Watson は、計量経済学の理論そのものよりも、STATAを使いながら回帰式の意味や統計結果の読み方を学ぶのに最適。本書で実証研究の作法を習得したい。日本語テキストなら浅野・中村をお勧めする。どちらのテキストも、計量経済学の手法を「どう使えばよいか」、実際のデータに当てはめて「何が言えるのか」、が分かるようになる。(Stock & Watson 待望の最新第3版が2010年12月に登場)


【大学院】
理論ならHayashi、実証ならWooldridge がよい。"Mostly Harmless Econometrics" は以前書いたように何ともユニークな内容。代表的な論文を題材に、計量経済学のテクニックを解説するという形式でまとめられている。そのため、それら論文の理論的貢献が何なのかがよりクリアになる。"An Empiricist's Companion" というサブタイトルにある通り、実証論文を読む/書く際に携えておくといつも助かる一冊だ。1年目コースワークの秋学期と春学期の履修内容もご参考までに。(Wooldridge 最新第2版が2010年11月に登場)



2013年5月には、"Mostly Harmless Econometrics" に待望の翻訳『「ほとんど無害」な計量経済学―応用経済学のための実証分析ガイド』が登場。タイトルも表紙デザインもそのまま直輸入というのは、翻訳者たちのこだわりだったのだろうか。いずれにしろ、大学院向け計量経済学テキストの定番が一つ増えるのはいいことだ。

最後に統計ソフトの Stata について。計量経済学では Stata を使う人が多く、そのチュートリアルはオンラインでも多々無料公開されている。一方で、テキストとしてまとまったガイドブックが手元にあると大変便利なのも事実である。とくにおすすめできるのが以下の3冊。いずれも Stata 出版から出されているものであり、オフィシャルガイドと言えるだろう。
"Data Management Using Stata" は、データの入力/整理/保存/出力といった手続きを解説したもの。後から元データに戻ってクリーニングし直す、なんていう二度手間を省くためにも、分析前にきちんとやっておきたい大事なプロセスだ。"Microeconometrics Using Stata" は計量経済学の各種モデルを具体的に Stata で分析する手順が詳説される。計量経済学者の著者が書いたものだけに、細かい(けど大事な)点にまで言及されており非常にありがたい。"A Visual Guide to Stata Graphics" は Stata の多種多様なグラフ作成機能が一つずつ詳しく説明される。グラフ種類・色・形から、罫線・目盛・フォントまで、細かい点をどのようにカスタマイズすればいいのか、イライラしないで済む一冊である。



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5.経済数学
経済数学については次の2冊。カバーしている内容はほぼ同じ。書きぶりにクセがあるものの、個人的には岡田よりも神谷・浦井が参考になることの方が多かった。留学前にこのレベルの数学をきちんと理解しておくと、Math Camp や経済数学のコースワークにもスムーズに入っていけるだろう。最適化に関する日本語テキストならディキシット、洋書であれば Sundaram が昔も今も定番書だ。1年目コースワークの秋学期の履修内容もご参考までに。




【追記】2013年3月には、『経済学で出る数学: 高校数学からきちんと攻める』の改訂版が登場。この分野の新たな定番書となりそうな一冊だ。

2009/09/22(火) | Economics | トラックバック(0) | コメント(4)