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ユダヤ人と日本人

そんなエヴァヲタな彼女から僕は多くのことを学んだ。それは死海文書の謎やリリスとアダムの関係、なんかではもちろんなく、イスラエルに点在するキブツや、ハヌカーの伝統、そして女性をも含めた徴兵制度といった、ユダヤ人の歴史と文化と国家についてである。ユダヤ人が、天才・金持ち・陰謀といった文脈でばかり語られるのは大変残念なことだ。上田和夫の著書はその系譜には属さず、彼女から直接聞く話と合わせて史実を知るという点で参考になった一冊である。

ユダヤ人 (講談社現代新書)
上田 和夫
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確かに日本にいると中東地域が物理的にも精神的にも遠く、ユダヤ人と親交を持つ機会もほとんどない。一方でアメリカではイスラエルが政治面でも学術面でも極めて近い存在であるし、身近にも多くのユダヤ人が住んでいる。だから僕は、初めてできたこのユダヤ人の友人から教わることが多かった。英語をトレーニングしてもらったことはもちろん、彼女のバックグラウンドも含めて話ができたことはとても有難い機会だったと感謝している。

その上、彼女の実家で父親と会えたのもよい経験だった。彼はアメリカとイスラエルに重心を置きつつも、今後新興国の経済発展が加速するにつれて世界の地政学的パワーがどう移り変わっていくかということに対する関心が極めて強い。そして、これからの人生をどこでどう過ごすことが一番幸せになれるのかということを常に本気で考えているように見えた。これは、いまだに日本という国の地理的位置が分かっていない大雪原のグランパとグランマとは非常に対照的である。しかし、それは片方がインテリで、一方がそうではないということを意味しているわけではない。おそらくその相違は、アメリカの大地でこれまで安心して暮らしてこれたドイツ系移民の末裔と、常に安住の地を探し求めてきたユダヤ人子孫の違いに由来するものなのだろう。

よく言われるように、ユダヤ人と日本人は共通点が多いように思われる。彼女とその家族の話を聞いていても、仕事に勤勉であり、子育てと教育に熱心なところ等は本当によく似ている。身近に接する機会が少ないという意味では距離感を感じつつも、国民性レベルでの類似性には親近感すら覚える。そんな不思議もあってか、ときに僕らは、先に書いたように必要以上に好奇の目でイスラエルやユダヤ人を見ることがある。でも僕は彼女と一年半付き合い、彼ら彼女らに対する理解がずっと深まったように思う。そんな感謝の気持ちとともに、彼女の日本での留学生活が充実したものとなるよう祈っている。



2010/01/18(月) | America | トラックバック(0) | コメント(0)

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