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養子マッチングのメカニズム

アメリカでは代理店を介した養子縁組が極めて日常的に行われていることは以前書いた通りだ。知人夫婦はすでに2人の子供を養子にし、賑やかで幸せそうな家庭を築いている。そしてその様子を見ていた知人の弟夫婦も、養子を一人もらい受けることを現在検討しているという。この弟夫婦には血の繋がった子が一人いるのだが、どうやら二人目を授からなかったらしく、それでもどうしてももう一人欲しいのだそうだ。

まずこの時点で日本とはずいぶんと異なる家族観なのだが、しかしこうした夫婦がいるからこそ、養子の仲介代理店というマッチングビジネスが成り立っているわけでもある。さて、この話を以前聞いたときにもう一つ感じたのが、この養子縁組のマッチング・メカニズムが経済学的には十分研究されていないということだった。結婚や臓器移植については盛んに研究が進められているものの、これまで養子のマッチング・メカニズムについて聞く機会がなかった。しかしこれは正にマッチングの典型例であり、研究対象としても興味深いのではないかと思っていたのである。

そんな中、新たにこの分野の扉を開けることになるかも知れないのがコチラの論文(pdf)。ブログ Market Design で紹介されている、"Gender and Racial Biases: Evidence from Child Adoption", (Baccara, Collard-Wexler, Felli, Yariv) である。論文の中で述べられているように、これまで養子縁組のメカニズムについては経済学的に、もしくは社会学的にもほとんど研究されてこなかった。

Despite the social value of a well-functioning matching process that delivers suitable parents to every child, adoption has not received much attention by the economics literature. Our analysis of parents’ preferences, combined with the identification of factors facilitating an ultimate match, opens the door to policy interventions aimed at increasing the efficiency of this process.


Unlike consumers’ preferences (that are observable through market behavior) or preferences over marriage partners (that are revealed in dating patterns), very little is known about parents’ preferences over children’s attributes. For the specific case of adoptive children, our analysis is a step toward filling this gap.



しかし、身近な知り合いから直接聞くと本当に驚くほど日常的に養子が進められており、東南アジアに養子をもらい受けに行くツアーがあることや、同性愛結婚が認められるにつれ今度はその同性愛夫婦の間で養子をもらいたいというニーズが高まっていること等々、アメリカの現代社会において養子は極めて現実的なイシューなのである。だからこそ、その研究成果は経済学的な実証/理論面での貢献にとどまらず、政策面での含意や提言も多く含まれることになる。まだそれほど手が付けられておらず、かつ社会的インパクトも大きく、そして何よりも親しい友人や知人夫婦の将来喜ぶ顔を見る手助けになるかも知れないという点でも、非常に興味深くやりがいのある研究分野と言えるのではないだろうか。



2010/03/06(土) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

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