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Complication in Replication

とはいえ、確かに replication の作業自体はしんどいのだよ・・・。第一にデータの収集。一般に公開されている政府系のデータであればアクセスそのものに問題はないのだが、その膨大なデータの中から必要な年次の変数だけを集めてくるというのは結構時間がかかる。その上、似たような変数が多数あると、間違えてやり直すこともたびたびだ。複製するよりも、自分の研究進める方が早いぜという気持ちも分かる。

第二に、データの加工。年齢、性別、収入といった変数からサンプル抽出するのは分かりやすい。しかし新たな変数が定義されそれに基づいた抽出となると、一気に手ごわさが増す。定義の仕方や加工プロセスについての説明が論文の中で十分になされていないことも多く、その場合には「おそらくこうだろう」と予測せざるを得ない。そして予測とは常にはずれるものだ。だからここでもまた、やり直し。

第三に、分析手法。これもまたくせものだ。最近ではプログラムコードを公開するジャーナルや、個人のウェブサイトで公開する研究者が増えてきたものの、やはりまだ一部にとどまる。やるべきことは分かっており、得るべき結果も分かっている。しかしそれをつなぐコーディングの部分はミッシングリンクだ。それを自分で繋げるところに、replication の教育的効果もあるのだろうが、さすがに骨が折れるゼ。ついでに心も折れるゼ。この作業をキライな人が多いのは納得してしまうな。

それでも僕には replication するもう一つ大きなインセンティブがある。それは僕に限った話ではもちろんなく、その作業を通じて英文ライティングのスキルも身に付けられるということだ。研究の背景から問題設定、先行研究とその課題、データの扱い方に分析手法、そして導かれた結論と今後の展望まで、一連の流れを英文で「複製」するというのはライティングの格好の勉強になる。こういう場面では、こんな書き方をするのかと学ぶことは、その言い回しを自分の中にストックすることでもある。自分のペーパーを書く際にも大いに役立つことだろう。

とくに、アブストラクトやイントロダクションの書き方に学ぶことが多い。少ない文字数の中で、いかにその論文のエッセンスを凝縮させるか。と同時に、読み手の関心をどうひきつけ、この研究の意義に共感してもらうか。そういうものの書き方は一朝一夕で身に付くものではない。そう自分を self-motivate しながら、悪戦苦闘・七転八倒しているわけである。ちっ、教育効果たけーぜ。

2010/03/27(土) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

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