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婚活の経済学3

前回に続き婚活の経済学。最終回の今回は、おとなり韓国の婚活事情だ。一見日本と似ているようだが、受験や就職などと同様にそこでは日本以上の競争が待ち受けていると聞く。クラスメイトの韓国人の女の子なども、「卒業して帰国してもすぐに30歳。そのうえPh.D.なんか持ってたらお嫁に行けな~い」と言って、時々もうあきらめたような目をしている。韓国ではそういう女性を「ゴールドミス」というらしいね。日本でも流行した「負け犬」とか「おひとりさま」に近い意味合いなのだろう。ソウル市内の高層マンションで一人暮らし。高学歴・高収入で結婚相手は見つからず、夜な夜なひとりで高級ワインをグラスに注ぐ。どうやらそういうシーンのようである。そんな事情も知らない僕なぞがうっかり「それも楽しそうじゃん」とか口を滑らそうものなら・・・、間違いなく血を見るね。

さて、そんな韓国の事情をまとめたワーキングペーパーがこれだ。"Evidence From South Korea" は半端じゃねーぜ。

5. "Marriage and Online Mate-Search Services: Evidence From South Korea" (Working Paper, 2009)

モデル自体は、前回書いた論文3(および4)が元になっている。その上でこのワーキングペーパーの新規性は、1)実際の結婚データを用いていること、2)ユーザーが自身で相手を選ぶ場合と、仲介者が相手を紹介する場合の、それぞれのマッチング結果を比較していること、にある。論文3(および4)では実際にデートした(もしくはその後結婚した)という結果を観察していないため、メール本文で「会いましょう」というフレーズが挿入されていたり、電話番号を交換したりしていれば「マッチングした」と定義していた。しかし当然ながらこの定義は粗い。一方このワーキングペーパーでは、合計20,000ユーザーというサンプル数の大きさと同時に、13.4%の結婚率という結果がデータに含まれているわけだから、その「マッチング」の定義そのものが極めてクリアになる。

仲介者の紹介という機能も面白い。仲介者は男女それぞの個人情報をより詳細に知っているわけだから、各属性の相性から判断するかぎりより効率的なマッチングを実現してくれそうではある。しかし、ワレワレは男も女も、「おまえ(あなた)に絶対合う子がいるよ!」と友人に紹介されても、必ずしもマッチしないということを経験的に知っている。さて、それではサイトの仲介機能のパフォーマンスはいかに?というのが論文の視点である。

結論であるが、まず相手の属性に対する評価は、これまで見てきた論文1~4と大きな違いはない。男性は年下を、女性は年上の相手を好み、男女とも同等の教育レベルを求める傾向が強いといった点は他の論文の結論とも整合的だ。他の論文になかった興味深い属性が「相手の家族」(の社会的経済的地位)であり、これも相手選びに影響を与えていると結論付ける。端的に言えば相手の「お家柄」を大変気にしているということであり、日本以上に「家」と「家」の婚姻という考え方が強く、結婚式・披露宴をド派手に行う韓国の慣習を考えるととても理解しやすい。韓国ほど影響ある要因ではないだろうが、やはり日本でも同じように「相手の家族」は重要なファクターなのではないだろうか。

また、仲介者による相手紹介についても、その機能が有効に働くと指摘している。具体的には、男性の場合、女性から直接受け取ったメールが最初のデートに結びつく確率は現在のところ13.3%(実データ)であるが、オンラインサイトが女性を紹介した場合にはその数字が27.4%にまで高まると予測する。詳しいアルゴリズムや数字は書かれていないのだが、実際にこの論文のモデルをオンラインサイトで一部適用した結果、デートに至るマッチング率が確かに向上したのだそうだ。

話に聞くかぎり相当に競争が激しい韓国の婚活市場。それは男と女のみならず、出会い系サイト・結婚相手紹介サービスそのものも生き残りに必死だということを意味する。成約率を高めていかなければ急速なユーザー離れを招きかねない、そんな危機感がこの会社を、データ分析であり、新たなアルゴリズムの適用に駆り立てたのかも知れない。日本の会社も業界分裂なんかで足の引っ張り合いをしている場合ではないだろう。よりよいサービスの開発、マッチング率の向上を目指し、新しい手法に取り組んでいきたいという企業があるのであれば、ぜひいつか共同研究等でご一緒したいものである。"Evidence From Japan" という、日本市場ならではの面白い結果が見えてくるのではないだろうか。



2010/04/11(日) | Economics | トラックバック(0) | コメント(2)

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ロンドン在住学生

『韓国の男女比』

非常に興味いエントリの連続でした。クラスメイトさんの声も非常にリアルですね…。3年前にソウルに行きました。

韓国は男女比が"歪んで"いて男性の方が圧倒的に多く、

NYTimes: Where Boys Were Kings, a Shift Toward Baby Girls:
http://www.nytimes.com/2007/12/23/world/asia/23skorea.html

韓国人男性はアジア諸国で結婚しに行っているようです。

NYTimes: Korean Men Use Brokers to Find Brides in Vietnam:
http://www.nytimes.com/2007/02/22/world/asia/22brides.html

エントリの「おとなり韓国の婚活事情…は日本以上の競争」や国際結婚は男女比が歪んでいるせいなのでしょうか。次回は「結婚とhappiness / subjective well-beingの経済学」でしょうか…?(笑)シングルの人に優しい結果であってほしいです。冗談です。失礼いたしました…。m(_ _)m

2010/04/12(月) 05:26:51 | URL | [ 編集]

tamago

『Re: 韓国の男女比』

韓国の男女比については、先日の Economist 誌の Gendercide 特集でもやっていましたね。韓国の婚活事情ですが、男性陣の話を聞いていると彼らの「メンクイ」度が相当高いように感じます(笑)。その上「ビジン顔」というものがかなり統一されているようにも思います。つまり、男性の女性に対する(ルックス的)好みがなかなか分かれないんですよねぇ~。あれだと合コン大変だろうなぁと余計な心配までしてしまいます・・・。

2010/04/12(月) 15:14:35 | URL | [ 編集]

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