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Un Prophète

そんなヨハンと僕は、よく気が合った。何となく趣味が近かったのだろう。彼の方がずっとセンスがよかったけどね。彼は僕に雰囲気のよいカフェを教えてくれた。ひっそり佇むギャラリーに連れて行ってくれ、アーティストを紹介してくれた。それ以外にも印象深かったのが、一緒に観に行った映画だ。東京ではあんなにしょっちゅう映画館に通ったのに、アメリカに来てからまだ一度も見に行ってないんだよね、という話をしたら、じゃあ今いい映画やっているから見に行こうよと誘ってくれた。そんな彼が選んだのは『アバター』なんかではもちろんなく、フランス映画の "Un Prophète"。カンヌ国際映画祭2009グランプリ受賞作にして、3月に六本木で行われたフランス映画祭招待作でもある。今後日本のミニシアターでも公開される予定であれば、自信を持ってオススメしたい一作だ。

6年の刑に処された19歳のアラブ青年マリクは、年も若く、読み書きもできず、刑務所ではまったく無力の存在だった。たちまち所内を取り仕切るコルシカ人グループのいいなりになってしまうが、与えられた「仕事」をこなすうちに、刑務所での生き方を覚え、仲間たちの信頼を勝ち取ることに成功する。そして今度は持てる限りの知恵を使い、自分のためのネットワークを張り巡らせてゆく。



スクリーンに充満するあの空気感はまさにフランス映画。主役の青年を演じたタハール・ラヒムは新人らしからぬ目つきと演技が光る。ストーリーは巧みでラストは秀逸。同じく刑務所を舞台にした映画『ショーシャンクの空に』のラストシーンをいかにもアメリカ的と評するならば、本作のラストはいかにもフランス的。そう、僕とヨハンの一番の共通点は、映画や他の文化資本、そして歴史や街並みといった点で、ヨーロッパに傾斜していることかも知れないな。


2010/05/14(金) | Others | トラックバック(0) | コメント(0)

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