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留学前にやっておいてよかった国内旅行

アメリカ留学を前に、この先、日本国内を旅行する機会もそうそうない。そう思いつめた僕にとって行くべき方角を決めるのは簡単なことだった。北陸。それも能登半島の先端まで。日本を離れる寂しさが胸の内に押し寄せ、その思いは僕を日本海へ向かわせた。Politically incorrect な言い方をすれば「裏日本」こそが、最後に行っておくべき場所なのだと確信していた。それは海外在住が長い日本人が演歌を恋しく思うという気持ちに似ているのかも知れない。

そして僕は能登に向けた機上の人となった。シートに深く腰掛け、このまま寝てしまおうか本でも読もうかと思案していた僕の目に、ふと通路を挟んで斜め二列前に座る女性の横顔が飛び込んできた。心臓がぎゅっと縮むほど驚いた。まさか自分が一方的に思い続けていた人と同じ飛行機に乗っていたなんて。なぜこの時期に、なぜこの飛行機に?こんな偶然があり得るのだろうか。疑問は尽きないが向こうはまだ全く僕のことに気づいていない。必要以上に体を小さくして身を隠すようにしながらも、飛行機を降りたら思い切って声をかけてみようと僕は思い始めていた。

能登空港に着陸し、乗客が順に降りていく。僕は彼女との間に4、5人を挟んだ後ろを、話しかけるタイミングを計りながら歩いていた。緊張から実はあまり記憶が定かではないのだが、初めて女の子に告白したあの時のように、手は汗ばみ、顔は強張っていたかも知れない。

彼女の歩きは遅く他の乗客にどんどんと追い越されていく。それは僕にとっては好都合なことでもあった。僕たち以外の全員が足早に過ぎ去ったのを確認し、僕はようやくの思いで後ろから声をかけた。絞り出すような小さな声で「あ、あの・・・」。振り返る彼女。目と目が合う。頭が真っ白になるという初めての経験が僕を襲う。次に言うべき言葉がすっぽりと抜け落ちる感覚。そして次の瞬間、僕は自分でも予想だにしなかった台詞を口にしていた。

「ずっと、好きでした」


nihonkai.jpg

北陸での奇跡の出会い・完結編へ



2010/06/23(水) | Japan | トラックバック(0) | コメント(0)

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