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白熱! 『白熱教室』 ~これからの「正義」の話をしよう

TED以外でいま抜群に面白いのが、NHK教育でも放送中の「白熱教室」。YouTube でも全講義が正式配信されている。マイケル・サンデル教授が話す英語はゆっくりとしたスピードで聞き取りやすく、その上内容も刺激的だ。その意味でも英語ヒアリングの最高のマテリアルになっている。



僕が特に印象に残ったのは、第1話の後半で人の命の重さを議論するところ。ここで黒人の男子学生は(48:10~)、例え家族や身寄りがないからといって、その人の命を軽く扱っていいはずなんてない、と主張する。仮にその人ひとりが犠牲になることで、その他大勢が不幸にならずに済むとしても、それは「正義」ではない、と。それに対しサンデル教授は、「君の意見が正しいならば、(社会全体のハピネスを最大化しようという)ベンサムの考えは間違いということになるのでは?」と男子学生に迫る。それに対しても学生ははっきりと「そうだ、ベンサムは間違っている」と述べる。

その後のサンデル教授の言葉がふるっていると思う。"Thank you. Well done." 何かを成し遂げたかのようにはにかむ学生と、彼を権威に挑戦させた教授。彼の言う "well done" には、まさにそうした姿勢に対する賛辞が込められているように感じられる。この学生はもしかすると、将来にわたってこの瞬間のことを思い出すかも知れない。1,000人の学生を前にして発言したこと。のみならず、その場で堂々と歴史的哲学者を否定したこと。それは20年後、30年後に思い返せば「あのときのオレは生意気だった」と笑い飛ばす程度のものかも知れない。しかし、彼がこの日、真正面から権威に挑戦したという事実とその興奮は、かけがえのない自信となって彼の胸に刻まれ続けることだろう。僕はそこに、教育の本質を見たような気がした。






2010/06/13(日) | Books | トラックバック(0) | コメント(0)

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