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世界の涯てに

地理的な果てというのは人を感慨深くさせる。リー・チーガイは映画『世界の涯てに』で、船乗りの魂が帰ると言われるスコットランド沖の "世界の涯て" を舞台に、金城武とケリー・チャンに物哀しいストーリーを演じさせた。ポルトガルのロカ岬はユーラシア大陸の最西端。詩人ルイス・デ・カモンイスが「ここに地終わり、海始まる」と詠った石碑が立つ。そして宮本輝はここに着想を得て、同名の小説『ここに地終わり海始まる』を著した。それ以上にロカ岬は、沢木耕太郎に『深夜特急』の旅を終わらせる決意をさせた場所として知られる。沢木が友人たちと約束したゴールはロンドンだったが、1年半の長旅の中で次第にその旅の終わらせ時と終わらせ方に悩み始める。そんな沢木が自分の心に一つの区切りをつけた場所だ。その先には見渡すかぎり海しかないという断崖と、果ての涯てまでやって来たのだという実感は、何かを終わらせ、そして次の何かを始めさせるだけの力を持っているのだろう。

翻ってここ与那国の岬もそんな雰囲気に包まれる。ここが日本という国の境であり、この先には台湾とさらにその向こうにユーラシア大陸が広がるという事実は、ロカ岬とはちょうど逆に「そこから地始まる」という感覚を呼び起こす。僕はここに来てようやく、日本を離れるんだという手応えを本当に掴んだ気がする。沢木がロカ岬で終わりを決心したように、僕は与那国の岬で始まりを確信した。芝生から腰をあげた僕は「よし」と一言自分に声をかけ、爽やかな風が流れる岬を後にした。

(留学前最後の国内旅行編 終)


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2010/07/17(土) | Japan | トラックバック(0) | コメント(0)

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