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全米最大のチャータースクール KIPP

Teach For America を通じて公立校に教師として赴任した Dave Levin と Mike Feinberg。そんな二人が赴任期間を終え、1994年に立ち上げたのが、KIPP (Knowledge Is Power Program) という新たなチャータースクールプログラムだった。設立15年を過ぎ、今や全米に82校を展開する最大のチャータースクールとなり、21,000人の生徒が通っている。そのKIPPの特徴は、以下の5つに運営方針に集約される。

1.High Expectations
生徒・両親・教師・スタッフが一丸となり、どんな生徒でも学力向上を実現できるよう努めること。

2.Choice & Commitment
入学するのは生徒自身の意志。自分で選んだからには、時間をかけて努力し成功を目指すこと。

3.More Time
人生と学問に近道なし。時間をかけて学習し、高校および大学入学を目指して準備すること。

4.Power to Lead
優れた学校に必要なのは優れたリーダー。予算と人事を管理し、最大限生徒の支援を行うこと。

5.Focus on Results
成果は標準テストで測る。生徒一人一人の努力の結果として好成績を期待すること。


上記方針に明示されているように、何よりも時間をかけて生徒に勉強させるのが最大の特徴だ。ほとんどのKIPPスクールは、平日朝7時半から夕方5時まで、月2回は土曜午前中にも授業がある。それに加えて2-3週間の夏期講習も課せられる。日本人から見ればまぁこれくらいはフツーだよねぇくらいのレベルかも知れないけどね(苦笑)。

ノンフィクション "Work Hard, Be Nice" は、KIPPの創立者二人が Teach For America で教員をしていた時代から追ったもの。彼らが生徒たちに Work Hard を求める背景には、彼ら自身が Work Hard してきた経験があるのだと分かる一冊だ。日本語の翻訳がまだないのが残念なところだが、平易な英語で書かれているので興味があればぜひ原書で読んでみるといいと思う。

もうひとつ興味深いのは、KIPPをビジネスという観点から見ると、そのモデルがアパレル企業のGAPに類似しているという点。それもそのはず、KIPPはGAP創業者が設立した財団から多額の資金援助と同時にノウハウの提供も受けているのである。その結果として、KIPPは極めてプロフェッショナルな組織形態を見せる。確かに、各地域のKIPPスクールが本部にライセンス料を支払う代わりに、本部が教員の採用からトレーニングおよびその他各種支援をスクールに対して行うのは、まさにフランチャイズ制度。

KIPPはいまやブランドの一つなのであり、Teach For America と同様に、こちらもハーバードのビジネスケースに取り上げられているのも納得だ。そんな Teach For America については、別のエントリで書いたように、その創業者ウェンディ・コップによる自伝『いつか、すべての子供たちに』および『世界を変える教室』が詳しい。KIPPの創立者二人を感化させたほどのパッションとミッションは、読み手に十分過ぎるほど伝わるくらいの熱さだ。教育関係者は必読といってもよいのではないだろうか。






最後に、KIPPについては、実はビル・ゲイツが相当支援している。NHK Eテレの「スーパープレゼンテーション」でも取り上げられていたように、以前のTEDトークで KIPP を次のように絶賛している。

Now, there are a few places -- very few -- where great teachers are being made. A good example of one is a set of charter schools called KIPP. KIPP means Knowledge Is Power. It's an unbelievable thing. They have 66 schools -- mostly middle schools, some high schools -- and what goes on is great teaching. They take the poorest kids, and over 96 percent of their high school graduates go to four-year colleges. And the whole spirit and attitude in those schools is very different than in the normal public schools. They're team teaching. They're constantly improving their teachers. They're taking data, the test scores, and saying to a teacher, "Hey, you caused this amount of increase." They're deeply engaged in making teaching better.


Now there's a book actually, about KIPP -- the place that this is going on -- that Jay Matthews, a news reporter, wrote -- called, "Work Hard, Be Nice." And I thought it was so fantastic. It gave you a sense of what a good teacher does. I'm going to send everyone here a free copy of this book.







P.S. 2013年3月、"Work Hard. Be Nice" が翻訳書『情熱教室のふたり』としてついに出版!








2010/08/02(月) | Education | トラックバック(0) | コメント(0)

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