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よい教育にいくらお金を払いますか?

標準テストの成績が学校別に情報公開されると、確かに「地域の序列化」へとつながる。アメリカの場合、それはさらに人々の移動を伴った「地域の固定化」にも結びついている。成績がよい学校へ自分の息子・娘を通わせたいと思うのはどの家庭も同じだ。しかし、その学区へ実際に引越せるのは、収入や仕事等さまざまな面において「余裕」がある家庭に限られる。そんな教育熱心で余裕のある家庭が移動してくるため、成績がよかった学校周辺の地価は値上がりする。一方で、成績が悪かった学区からは余裕ある家庭から去って行き、新たに引越してこようという者も少なく、地価は値下がりすることになる。

アメリカではどの都市でも、富裕層の住む綺麗なエリアと、貧困層の住む治安の悪いエリアが明確に線引きされる。初めから存在していた区分けももちろんあろうが、地価に影響を与え人々の移動を促している学校成績が、その線をさらに太く強固なものにしているという側面もあるのだ。

Black (1999) はこの点に着目し、成績がよい学区にある住宅に対して、各家庭は平均してどの程度支払うのかを、regression discontinuity design の手法で推定したもの。1993年から1995年までのボストン郊外でのデータを用いた本論文の結論では、標準テストの点数が5%上がると学校周辺の住宅価格が2.1%上昇するとしている。各家庭にとってはこの値でも十分に大きな影響を受けるものだろうが、何人かの知り合いに直接聞いてみると、実際の住宅価格上昇分をもっと大きいと感じている家庭が多そうだ。とくに近年、公立校に対して監視を強めていこうという風潮を考えるならば、確かにこれ以上に予算を上積みしてでも子供をよい学校に通わせたいと思うのが親心というものなのだろう。

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Black, S. (1999), "Do Better Schools Matter? Parental Valuation of Elementary Education", (QJE)



2010/08/09(月) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

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