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若き経済学者のアメリカEconomics ≫ マルコム・グラッドウェルの Tipping Point

マルコム・グラッドウェルの Tipping Point

Card et al, (2008) "Tipping and the Dynamics of Segregation" のキーアイデアは、前回書いたように1970年代の Schelling にまで遡る。しかし、このアイデアを "Tipping Point" というファンシーなネーミングで浸透させたのは、マルコム・グラッドウェルである。彼がこの考え方をビジネスとくにマーケティングに応用し、なぜある商品が突然売れるようになるのかを分析した『急に売れ始めるにはワケがある』は日米でベストセラーとなった。

このビジネス書は今読んでも面白い事例と分析に溢れているが、唯一残念なのが文庫化にともなって書名が変更されてしまったこと。当初の『ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか』こそが原書どおりの訳であり、シェリングの "Micromotives and Macrobehavior" (1978) から引き継がれたキーアイデアをまさに端的に表しているんだけどね。

ヒットを作るには、膨大な予算が必要―というわけではありません。小さな変化が大きな結果を生むのです。本書は流行現象を口コミによる感染ととらえ、そのメカニズムを説き明かします。「少数者の法則」「粘りの要素」「背景の力」は、マーケティングに興味を持つ人には、必須の知識。先見性あふれる『ティッピング・ポイント』、待望の文庫化。



急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)




2010/08/23(月) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

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