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新書で学ぶ金融とリスク管理

池尾和人『現代の金融入門【新版】』は現代の金融システムについてコンパクトに解説した良書。簡にして要を得た説明は、初学者にもありがたい。

金融のビジネス・モデルに大きな変革が求められている今、第一人者が金融を原点から考え直す。情報とは何か、信用はいかに創り出されるのかといった、金融の本質に鋭く切り込み、平明かつ簡潔に解説した定評あるロングセラー『現代の金融入門』を、金融危機の経験を総括すべく全面改訂。アメリカの金融におけるリスク取引の功罪を明らかにし、金融システムの安定に必要な規制・監督の仕組みを考察。あわせて、資産価格バブルと非伝統的な金融政策の効果についても検討する。


本書は「資金の移転」「リスクの移転」という金融取引の意義を語るところから始まる。前半は「貨幣」「システミック・リスク」「信用創造のメカニズム」「金融政策と中央銀行」「持ち合いとメインバンク」等、銀行システムを中核に据えた解説にページが充てられる。一転後半では、一昨年の金融危機を念頭に、「デリバティブ」「証券化」そして「サブプライム・ローン問題」「金融規制とセーフティネット」等、より現代的なトピックへと展開していく。

ただし、著者がはしがきで述べるように、「真に現代的である反面、正直にいって、本書の内容は入門書としては難しいように感じられるかもしれない。それは、具体例をあげて説明するというよりも、本質的と思われる事項について、できるだけ論理的に筋の通ったかたちで説明するという姿勢をとったからである」。その指摘のとおり個人的には、「具体例をあげて説明」される他の書籍と合わせて読むことで、本書に対する理解も深まったように思う。その意味でも、歴史的な事例を数多く取り上げた、ニーアル・ファーガソン『マネーの進化史』や、『リスク』を始めとするピーター・バーンスタインの一連の著作は、本書と合わせてオススメできる。






2010/09/03(金) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

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