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ピーター・バーンスタイン『証券投資の思想革命』『アルファを求める男たち』

池尾和人『現代の金融入門』の中にもあるとおり、「要するに、金融業はますますリスク管理ビジネスとしての色彩を強めていくことになり、リスク管理の巧拙が金融機関の競争力を決めるようになっていく」。そんな鎬を削るような投資技術の開発競争の様を、ピーター・バーンスタインほどエキサイティングに描いた者はいないだろう。彼の最初のベストセラー『リスク』も、古代ギリシャにまで遡る知的興奮を伝えた名著だが、証券投資戦略に焦点を絞り込んで書き上げた以下の2冊は、また別の刺激と面白さに溢れている。昨年6月に90歳で亡くなるまで、精力的に金融・投資・リスクの歴史を書き続けた著者バーンスタインに改めて敬意を表したい。



『アルファを求める男たち』は、2006年12月に普及版刊行の『証券投資の思想革命』の続編で、1960年代後半からの米国投資業界の激変を土台として支えてきた「理論」が、どのように資産運用の実務に応用されていったかを、人物に焦点を当てて描いた魅力的な書。『証券投資の思想革命』で示された一連の考え方(リスクとリターンのトレードオフ、分散投資の重要性、市場に打ち勝つことは至難の業であることなど)がその後どのように発展したか、具体的に実務家たちがビジネスにどのように役立てているのか、また行動ファイナンスからはどのように批判されたのかを描き出している。特に、投資の世界でパッシブ運用やインデックス運用からアクティブ運用と超過収益率(α)を求める新たな方法へ移っていく投資運用業界の変貌が生き生きと描かれており、投資運用業界のみならず、一般投資家にも役立つ内容となっている。人物に焦点を当てたスタイルは前著『証券投資の思想革命』と同じで、カーネマン、シラー、セイラー、マーコヴィッツ、サミュエルソン、といった投資運用業界における偉大なる人物を等身大に描き出す語り口は非常に読みやすく、魅力的な書となっている。著者のバーンスタインは2009年6月に逝去されており、本書が最後の著作となった。





2010/09/07(火) | Books | トラックバック(0) | コメント(0)

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