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クーリエ・ジャポン「世界一の集中講義」

クーリエ・ジャポン10月号の特集「知性を鍛える『白熱講義』」が面白い。

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2010年 10月号 [雑誌]

1時限目|労働心理学ゼミ
 人のやる気を引き出すには「アメとムチ」はもう古い
2時限目|問題解決基礎論
 ありとあらゆる問題に共通する「解決への糸口」を教えよう
3時限目|情報技術各論
 「IT音痴」なんて言い訳か通じる時代はもう終わった
4時限目|神経経済学
 脳内ホルモンを操る企業がSNS全盛時代を勝ち残る
ランチタイム|食習慣改善
 米国人の体の大部分はトウモロコシでできている
5時限目|歴史実験学概論
 世界の構造を把握するには歴史を統計的視点で見ればいい
6時限目|ゲーム理論入門
 正確なデータさえあれば 90%の確率で未来予測は可能
放課後|教授宅訪問
 クルーグマン教授が語る「ノーベル賞までの道」

1時限目の担当は『モチベーション3.0』の著者ダニエル・ピンク。6時限目は『ゲーム理論で不幸な未来が変わる!』の著者ブルース・ブエノ・デ メスキータ。それだけでなく、放課後のクルーグマンが「若かった頃は、なにかを発見すれば、まるで天が聞いて歌声が聞こえてくるような気がした」と振り返る様子や、「実生活で討議されている問題の要点を取捨選択し、それをクレバーかつキュートで、シンプルなモデルにまとめる才能」が他の経済学者たちから "詩人" とまで評されてきた様も印象深い。ポップでキュート、大事なことですね。

でもそれ以上に個人的に、そして(計量)経済学的に面白く読んだのが5限目にジャレド・ダイアモンドが担当した歴史実験学についてだ。ここでは3つの事例が紹介されている。1つ目は深刻なコレラ流行に見舞われた1854年のロンドン。コレラ感染の2つの可能性(空気感染 or 水質汚染)をどう峻別したかという話。2つ目は、同じイスパニョーラ島に位置する国でありながら、なぜ島西側ハイチ共和国のGDPは、東側ドミニカ共和国の6分の1しかないのかという疑問。そしてその答えを、歴史的偶然により西部を植民地としたフランスと、東部に拠点を築いたスペイン両国の植民政策の違いに見出す。3つ目の事例は、ナポレオン戦争が19世紀ヨーロッパの経済成長・産業化に与えた影響についてだ。

そしてこうした考察を踏まえ、ジャレド・ダイアモンドは歴史学にも自然実験および計量経済学的手法をより採り入れるよう提言する。「多くの歴史学者は自分たちを科学者というよりはむしろ『ストーリーテラー』とみなしている」と指摘し、「伝統的な専門知識に自然実験や計量的方法、統計学を加えれば、歴史学者たちはもっと効果的に成果を上げることができ」ると述べている。まったくもってその通りだと思う。

それにしても、ダニエル・ピンクはやはり話が抜群にうまい。アル・ゴア元副大統領のもとで主席スピーチライターを務めていたその実力は、自らが話すときにももちろん発揮されまくりだ。以下、『モチベーション3.0』について語った去年のTEDトークより。


モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代





2010/09/09(木) | Books | トラックバック(0) | コメント(0)

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