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文庫で学ぶ中国現代史と毛沢東

池上彰『そうだったのか! 中国』が文庫版で登場。2007年に出版された同名の書に加筆修正し、書き下ろしの一章を加えた内容。その追加章「21世紀中国の光と影」では、オリンピックと万博開催を含め成長を続ける中国や、「G2」という言葉に代表されるように米中二強時代の到来、そして通貨・人民元の国際化等に触れている。

好景気に沸く中国の実情は!? 13億もの人口を抱えながら、急速な経済成長を続ける中国。一方、都市部と農村部の格差や少数民族の抑圧、公害等の新たな問題も浮上。21世紀のキー国家、その現代史を池上彰がわかりやすく解説する。



全17章のうちの読みどころは、著者の書きぶりにも熱が感じられる「第二章」から「第六章」にかけての毛沢東と共産党の歴史についてだ。著者が語るように「中国現代史は、この毛沢東抜きに語れません。しかし、さて、どう語ったらいいものか。それほど大きな存在で、その歴史的評価は毀誉褒貶激しく、まさに怪物、巨魁」なのである。中国革命の星として輝いた毛沢東、しかしその後の大躍進政策と文化大革命で国土を荒廃させ、数多の国民を死に至らしめた独裁者でもある。そして党内で繰り広げた権力闘争と、非科学的な種々の政策は、あまりにも凄惨な結果を招いた。しかし、現在も天安門広場に巨大な肖像画が掲げられていることが象徴するように、現代の中国が毛沢東思想に基づいている限り、中国共産党はその歴史を省みようとしない、と著者は厳しく批判する。と同時にそれは、お互いが隣人として、それぞれの「歴史を直視」することから始めようという著者の思いでもあるのだ。



その「毀誉褒貶激しい」毛沢東をネガティブな面から書いたのが『マオ』。『ワイルド・スワン』の著者ユン・チアンが丹念な取材を基に弾圧者としての毛沢東像を描く。一方で、それとは別の視点で著されたのが『毛沢東 ある人生』だ。著者は毛沢東がヒトラーやスターリンと同様の独裁者であることは認めつつも、毛沢東によってもたらされた数々の混乱と犠牲は、毛沢東自身の思想や人格の帰結というよりはむしろ、民主主義の歴史を持たない中国という国家自身が支払わねばならない代償だったと考える。同一人物であってもこれだけ見方が異なる描かれ方に、そして死後30年以上を経て今なお思想的影響力のあるこの人物に、まさに「怪物」を見たような気がした。







2010/09/19(日) | Books | トラックバック(0) | コメント(2)

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C

『ワイルド・スワン』

そういえば、聞くのを忘れていましたが、お読みになられましたか??

私は読んで以来、本当にこの国は怖いなと思い、また今の変化が面白いと思っています。

2010/09/22(水) 14:47:21 | URL | [ 編集]

tamago

『Re: ワイルド・スワン』

ワイルド・スワンも読みましたが、Cさんほどにははまりませんでしたねぇ(笑)

2010/09/23(木) 02:21:16 | URL | [ 編集]

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