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Teacher Quality の国際比較

前々回書いた、アメリカの初等教育の現場に優秀な教師がいないという内容と整合的なレポートが、先月マッキンゼー社から発表されていた。"Closing the talent gap: Attracting and retaining top third graduates to a career in teaching" と題された本レポートでは、アメリカにおける教師の離職率の高さや今後10年間で約半数が定年退職を迎えることを踏まえ、"Who should teach?" と警鐘を鳴らす。


比較対称は、以前書いたように、OECD学習到達度調査(PISA)で上位にランクインする韓国およびフィンランドに、シンガポールを加えた3ヶ国。これらの国はいずれも教師のリクルーティングが selective で、全ての教師が高校の成績上位5%(韓国)、上位20%(フィンランド)、上位30%(シンガポール)から採用される。一方のアメリカは、成績上位30%だった教師というのは、全体の23%しかいないということだ。

離職率は、韓国1%、フィンランド2%、シンガポール3%、そしてアメリカ14%。本当にアメリカの公教育は「いったい誰が教えているのか?」といった有様だ。本レポートでは、シンガポールや韓国では相対的に教師の給与水準が高いことや、業績連動ボーナスが導入されていることにも言及しているが、しかしそれはフィンランドには当てはまらない。オバマ政権のもと、アメリカでは universal health care の議論が続いたが、さて universal education については今後果たしてどうなるのだろうか。

規制緩和を通じてチャータースクールを推進していこうとするオバマ政権の意向や、TFAのようなNPOの取り組み、そしてBill and Melinda Gates Foundation のように莫大な予算をもつ財団が、アメリカの教育分野を最大の重点政策に掲げているように、non-governmental な組織が今後さらに中心的なプレイヤーとなっていくのかも知れない。そしてこのように、teacher competition や school competition を通じて competitive education をどう達成していくかというのは、この先ますます面白い研究分野になるのではないかと思う。

それは手法の面から言えば、「クラス当たりの生徒数を減らすと学力がどれだけ向上するか」といったシンプルな因果関係を捉えた reduced form よりもむしろ、市場競争のダイナミクスを構造的に捉える structural analysis が必要とされるということになるのかも知れない。



2010/10/11(月) | Education | トラックバック(0) | コメント(0)

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