若き経済学者のアメリカEconomics ≫ アメリカ経済学ジョブマーケット3

アメリカ経済学ジョブマーケット3

Cawley の アドバイスは、まず初めに (1-a) "In what fields of economics you will specialize" がくる。そんなものは、自分に当てはまる分野を各々勝手に専門として名乗ればいいようなものだが、それでもこれを最初の助言とするのは、マーケットにおける customer 視点と competitor 視点を忘れるなよ、ということなのだと思う。

customer の立場から見てどういう分野のニーズがある(ない)のかというのは、彼のレポート(Table 4)が参考になる。毎年コンスタントに高いニーズがあるのが、"Math./Quant. Methods", "International Econ.", "Microeconomics" あたり。一方ここ数年の伸びが著しいのが "Health, Education and Welfare"。これは、政治的・社会的な関心の高まり、そして、Health, Education の産業セクターがこの10年で大きく成長したという経済的な背景があるのだろう。

ここでは2008年までの数字しか載っていないが、Siegfried (2010), "Report of the Director Job Openings for Economists" には、2009年の最新データがまとめられている。2008年の金融危機以降ジョブマーケットが冷え込んだのは企業も大学も同じ。しかし企業も産業毎に冷え込み方が異なるように、アカデミックマーケットも分野により随分と差がある。2008年に比べて延べ求人数が23.7%減となった2009年、とくに落ち込みが大きかったのが、International Econ. (38.6%減) や Business (31.3%減) 。一方で全体より小さな減少幅で収まった Microeconomics (17.2%減) や Public Econ. (17.1%減) 等は、株価でいうところのディフェンシブ銘柄ということか。

もう一つ、competitor 視点で考えるならば、それぞれの分野にどれだけの Job candidate が供給されているのかを見る必要があるが、それには、Deck et al. (2010), "Survey of the Labor Market for New Ph.D. Hires in Economics 2010-11" の調査結果が参考になる。分野別の需要と供給がまとめられているのだが、その需給バランスに差があることが分かる。

例えば、僕の専門分野である Labor Economics とその中で現在取り組んでいるトピックである Education の二分野を見てみる。下の Table 4 でもそうだが、この二つの分野にはほぼ同じくらいのニーズがあるようだ。一方で、Ph.D.供給数には差があり、Labor Economics は Health, Education に比べて倍程度の競争率となっている。さらには、Health, Education の方がディフェンシブであることも考慮すると、自分の売り出し方としては Labor よりも Education を専門として全面に出したほうがよろしいかしら、なんて考えてしまうわけだ。もちろん、どんなにアゲインストの景気や混雑したマーケットの中でも、群衆から頭2つ抜け出す実力があれば話は別だが、残念ながらそうではない場合、こうした「パッケージング」みたいなものも考慮せざるを得ないのだ。すまんのぉ、せこくて。


110215.jpg



2011/02/22(火) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

«  |  HOME  |  »

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL
http://theyoungeconomist.blog115.fc2.com/tb.php/293-7f03a5a4
 |  HOME  |