若き経済学者のアメリカEconomics ≫ 異人・奇人・変人と統計学者

異人・奇人・変人と統計学者

Dr.ヴァンスの『英語で考えるスピーキング』の第4章もなかなかに面白い。曰く「成功を左右する雑談」。要は、立食パーティーからレストランでの食事、そしてビジネスの交渉まで、出だしの Small talk がうまくいけば、その後の話全体がスムーズに進むということ。ツカミ大事ってことだよね。

この指摘も別に目新しいものではないが、簡単に実践できるものでもない。しかし、言われてみれば確かに、自分が受ける側にいた授業では、雑談がうまい教授の講義というのは、やはり内容面でもよく印象に残ったものである。だから、僕がいま講義をする側に立ってみて、さてどう small talk したものかと思案したりするわけである。

幸いなのが、この授業が統計学だということ。いやぁネタには困らないっしょ。それこそギャンブルの話題から、スポーツの話まで、バラエティはとことん豊かだ。あとはこの中からどの「極上の小ネタ」「至高のトリビア」をピックアップするのか、その選択の問題だけである。

というわけで、講義ノートの作成と、授業当日のタイムライン設計を終えた後では、「さて明日はどの雑談から始めたものか」と、至福の時間を過ごすことにしている。確率の基礎をカバーする日には、当然、「ラスベガスでの小遣いの稼ぎ方」からトークを始める。カジノでの必勝法というものはないし、もしあったとしても誰も教えてくれないだろう。しかしその逆で「必敗法」というものがあることは知っているだろうか?カジノで勝つ近道は、この必敗法を理解し、そこからできるだけ離れるような賭け方をすることなのである。とかいう small talk から始めると、期待通り明らかに食いつきがいいわけだ。そういう分かりやすい反応をしてくれると大変に助かるし、その後の授業も進めやすい。

ギャンブルとスポーツ以外では、やっぱり統計学者の人となりが面白いと思う。よく知られるように、数学者の中には、決闘で命を落としたり、ノートの余白に迷惑な走り書きを遺して亡くなったりと、ユニークなエピソードを持った人が多い。そしてそれは統計学者にも全く同じように当てはまることである。

元ネタとしては以下の2冊が優れものだ。例えばベイズの定理で知られるベイズ氏は実は牧師で、神をも恐れずに事前・事後確率に取り組んだことだったり、t検定のゴセット氏がギネスビール醸造会社の技術者で、匿名スチューデントとしてこっそり論文投稿していたことだとか。そんなエピソード溢れる統計学者の皆さんのおかげで、僕の授業は今のところ順調に進んでいるのだと思うと、こうした歴史的人物たちには感謝してもし切れないね。


統計学を拓いた異才たち(日経ビジネス人文庫) 確率の科学史―「パスカルの賭け」から気象予報まで




2011/06/23(木) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

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