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That's funny.

先日連載が完了した、ほぼ日(ほぼ日刊イトイ新聞)のMITメディアラボ訪問と石井裕インタビューが面白い。写真家・梅佳代のときも書いたが、糸井重里は当代きっての名インタビュアーだと思う。どの対談からも、話相手のユニークなエピソード、キュートな一面を引き出している。対談相手に恵まれたというものではなく、それは何よりも糸井自身が、その人の話を興味津々で聞いているからなのだろう。

例えば今年新春にイチローと語り合ったNHK特別対談をご覧になっただろうか?ワールドベースボール・クラシック決勝、対韓国戦。イチローの決勝打が日本を優勝に導いたわけだが、あの延長10回表3対3の同点、ニ死2・3塁という大チャンスで、それまで不調続きだったイチローに打席が回ってくる。そして「あのとき打席に立ちたくなかった。四球で歩かせて欲しいと願った」という本音を、イチロー本人の言葉で語らせる。そのことが本当に驚きだ。でも、イチローが気持よさそうにしゃべり続ける光景を見ると、それが全然不思議でなく思えてくるのだ。それくらい糸井重里は目を輝かせて話を聞いている。

彼の数ある対談の中でもとくに好きなのが、邱永漢とお金について話した『お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ』。これは、今回の大震災後の、募金に関する糸井の発言ともつながる。結婚式や葬式には相場というものがある一方で、募金に関してはいくら出せばよいものか分からないことが多い。であれば「じぶんひとりを3日雇えるくらいのお金」を一つの目安としてはどうか、と糸井は呼びかけた。それに賛否両論あったのは当然なのだが、少なくとも、汚らわしいものとして避けられがちだったお金の話を、ちゃんと正面から取り組んで考えようという彼の思いはこの本からも伝わってくる。

子供へのお小遣いのあげ方や、会社経営にまつわるカネの話等々、活字になっていても「それ面白いなあ」とか「いいなあ、それ」という相槌が多く、それが本気で言っている言葉だから相手もどんどん話しにノッてくる。だから対談が気持ちいいのだ。

翻ってアカデミックの場でもそうありたいと思うのだ。例えば、論文を読むということはある意味、著者とじっくり対話するということではないか。既存研究を(建設的に)批判するのはもちろん大事なことだが、そればかりだとどうしてもシラける。That's funny. と言った方が気持ちいいし、まさに対談と同様にフィードバックも多いかと思いながら、読み進めていたりするわけだ。僕も口ぐせにしてみるかな、「それ、いいねぇ」って。




2011/05/30(月) | Books | トラックバック(0) | コメント(0)

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