若き経済学者のアメリカEconomics ≫ トラブル学生と対決する

トラブル学生と対決する

順風満帆な講義、平穏無事な日々、そういうシアワセな日々は残念ながら一週間と持たなかった。静寂を破ったのは、ある一人の学生から出たクレームだった。曰く、宿題の問題が難し過ぎる。三日考えても全く分からない。クラスメイトに聞いてみても皆同じ状況だ。こんな宿題を出すなんて、どうかしてるぜ、オイ。そういう文句が出たわけである。

そうか、この問題が解けなかったのかと若干憂鬱になる。何しろ教科書の章末問題からピックアップしたものだったから、授業内容をフォローしていれば(もしくはフォローしていなくても)、問題なく解答できるものなのだ。そして「クラスの皆も困ってます」といった、私はクラス全員の声を代表しているんデス、みたいな言い方にも腹立たしさを覚えたわけである。実際にそんなことはなかったし。

こういうのは何よりも最初が肝心。ここでガツンと言っておかないと後々まで禍根を残す。そう思った僕は、だからこそ、それなりに強い口調で、その彼女のクレームメールへの返事をしたためたのだ。僕が怒髪天を衝く勢いで書き上げたその返信メールは、僕がこれまでの英文トレーニングの成果を全て注ぎ込んだ、完璧なるガツンな出来栄えだったと今でも思う。

が、それをまさに送信する手前、ちょっと待てよと思いとどまる。ここはアメリカなのだ。全米の大学構内で起こった数々の事件とニュースが頭をよぎる。ワーストケースとしては、逆恨みされて(1)キャンパス内で銃撃・殺害、(2)裁判所に駆け込まれて訴訟沙汰、(3)学長への直接クレーム経由で処分される、といったことは、「可能性はゼロではない」どころか、十分に現実的に起こり得る話である。

俺はビビった。このガツンな言いっぷりは流石にまずいと。せめてカツンくらいにしておかないと、こっちの身が危ない。だから俺は、これまでの英文添削トレーニングから学んだこと全てを投入し、完全なるカツンな出来の返信メールを仕上げ、それを送信したのだ。それはそれはもう見事な小者っぷりである。

翌日、かつてないほど緊張しながら教室に入った僕の目に飛び込んできたのは、彼女が僕に向けて構えた銃口、なんかではなく、いつもの笑顔とハーイという挨拶だった・・・。そういう、取り敢えず文句言ってみましたー、みたいなの、やめてくんないかなあ。こっちがどれほど最悪の事態を考え、冷や汗をかいたか、アメリカ人の君には分からないだろうねえ。




2011/06/30(木) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

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