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フェイスブックCOO、シェリル・サンドバーグのスピーチ

Facebook No.2 の Sheryl Sandberg のスピーチを聞いてみた。1つは、今年5月にバーナード・カレッジ卒業式で贈った commencement address. もう1つは、昨年末のTEDトークである。この二つを聞き比べて学んだことをまとめておく。

まず、英語の聞き取りやすさ。その発音・アクセント・スピード等々、ヒアリングの格好の教材だ。英語が聞き取れるから話す内容もきちんと追えるし、それだけしっかりと理解できる。15分程度の短時間かつ分かりやすいトピックとはいえ、最後まで集中力を切らすことなく聞き続けられる所以だ。

これを逆に考えると、自分の英語スピーキングの力をもっと高めていかねばならないと思うのだ。そうでなければ、研究発表でもその他プレゼンでも、オーディエンスの集中を切らせ、飽きさせ、最後まで聞いてもらえない、ということになる。この夏の講義で話し続け、壁にぶち当たったのは以前書いた通り。来学期はとくにスピーキングの練習が必要だな。


2点目の学びは、オーディエンスを意識した内容と構成、そして話し方。サンドバーグの卒業式スピーチでは、think big, aim high, be ambitious, lean in と、卒業生たちを鼓舞するそれこそ「ビッグ」な言葉が並ぶ。人生の先輩が、これから新たなキャリアを歩み始めたかわいい後輩たちを力強く励ますような語り口である。




一方のTEDは、当たり前だがよりプロフェッショナル。立ち居振る舞いもそうだし、「3つのメッセージ」という話し方もそうだ。聴衆を見渡せばサンドバーグと同世代かさらに年配の女性ばかり。恐らくは彼女と同様に、種々の業界や企業でリーダーとしての役割を担っている女性たちなのだろう。このようにオーディエンスを意識したプレゼンの切り替えが、果たして自分には出来ていただろうか、と振り返るいいきっかけになった。




3つ目の学びは、舞台が異なろうともコアのメッセージは変わらない、ということ。上に書いたように、二つのスピーチは話すスタイルこそ大きく違えど、その中に込められたメッセージはほぼ同様のもの。同じ数字を引き、同じエピソードを語る。もちろん、同じテーマで話しているのだから当然だという指摘もできるだろう。だがそれよりはむしろ、自分の変わらないメッセージを、状況に応じて、それこそ手を変え品を変え言葉を変えて伝えていると考えるほうが腹に落ちる。

彼女にとって、もっと言えば人にとって、「今わたしが言えること」「今わたしが言いたいこと」「今わたしが言わねばならないこと」が重なるような、その人にとってのコアなメッセージなんて、3つも5つも、ましてや10もあるものではない。一つ存在することが何よりも大事なことであり、彼女の場合はそのコアが、TEDでの "Why we have too few women leaders?" という問いであり、バーナード・カレッジ卒業式での応援メッセージということなんだろう。

英語が綺麗、内容が面白い、構成がクリア。そういう諸々のこと以上に彼女のスピーチを印象深いものとしているのは、つまるところそのコア・メッセージの力強さなんだろう。翻って自分のトークを考えるならば、テクニック論に走る前にもう一度、自分ならではのメッセージは何か、そして聴衆に訴求する強さを備えているのか、再考する必要があるということだ。

最後に彼女の人となりについて。バーナード・カレッジ卒業式前日に、"This probably meant more to me than any speech I've ever given, because it's the beginning of their lives." と述べたように、彼女の人柄が垣間みえるのは、TEDよりもバーナードでのスピーチの方だ。それを聞くと、シリコンバレーにもウォール・ストリートにも彼女のファンが多い理由が少しだけ分かった気がする。



2011/08/04(木) | English | トラックバック(0) | コメント(0)

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