8月15日にNHKで放送された『渡辺謙 アメリカを行く ~"9.11テロ" に立ち向かった日系人』を観た。興味深い視点で、とてもよく作られた番組だったと思う。いまアメリカにいる日本人、そしてこれからアメリカに渡る日本人にとってはとくに知っておくべき歴史であるように感じた。もちろんアメリカという国に興味を持っている人たちにとっても。来月の再放送もぜひ。
番組の中で最も感銘を受けたのが、ノーマン・ミネタ・ヨシオ氏。恥ずかしながら今まで一度も聞いたことがない名前だった。しかし、クリントン政権下で商務長官を務め、その後のブッシュ政権下では運輸長官として9.11テロ直後の全航空機の緊急着陸を陣頭指揮した人物。1931年サンノゼに生まれた日系二世にして、UCバークレー卒業生。そして、第二次世界大戦中にワイオミング州ハートマウンテンの日系人強制収容所に入れられた経験も持つ。収容所跡地に建てられた資料館は3日前に開館したばかりだ。
その彼が9.11テロ後のアメリカ社会で心を痛めたのが、アラブ系アメリカ人・移民に対する偏見と差別。テロの詳細がなかなか明らかにならない中、「アラブ系の若い男性」が実行犯であったという情報だけがひとり歩きし、乗客が不安がるという理由のみで何人もの無関係なアラブ男性が、空港にて飛行機搭乗を拒否されるということが相次いだ。
それが安全のために必要不可欠なことなのだという世論が広がる中、ミネタ氏は運輸長官として、肌の色や服装の特色等を判断材料にした搭乗拒否を禁止する声明を発表する。そのスピーチがしびれるほどに格好よいのである。彼は自分が日系人だというだけで強制的に収容された personal experience を踏まえ、今イスラムの人々に向けられた同じような視線が、いかにアメリカの精神に反するものなのかを、抑えたトーンで力強く語る。
マスコミからの強烈な批判に対しても、各航空会社が行っていることは自由を保障する憲法に明らかに違反すると主張する。乗客の不安をそのままにしてまでなぜ No なのかと問われれば、それが憲法に則り正しいことだからだと即答する。"Do things right." ではなく、"Do the right things." の強烈なリーダーシップと言えよう。
彼のスピーチからはその信念、そして不屈不撓の精神がひしと伝わる。経験を重みとし、言葉に力がある。僕は果たして自分の口を開くときに、そういうことを意識したことがあっただろうか。彼の話には、無駄なものがなく、全てに意味が込められ、そしてチャーミングな笑顔でも人を魅了する。僕は彼の話をもっと聞きたくなった。
その彼が9.11テロ後のアメリカ社会で心を痛めたのが、アラブ系アメリカ人・移民に対する偏見と差別。テロの詳細がなかなか明らかにならない中、「アラブ系の若い男性」が実行犯であったという情報だけがひとり歩きし、乗客が不安がるという理由のみで何人もの無関係なアラブ男性が、空港にて飛行機搭乗を拒否されるということが相次いだ。
それが安全のために必要不可欠なことなのだという世論が広がる中、ミネタ氏は運輸長官として、肌の色や服装の特色等を判断材料にした搭乗拒否を禁止する声明を発表する。そのスピーチがしびれるほどに格好よいのである。彼は自分が日系人だというだけで強制的に収容された personal experience を踏まえ、今イスラムの人々に向けられた同じような視線が、いかにアメリカの精神に反するものなのかを、抑えたトーンで力強く語る。
マスコミからの強烈な批判に対しても、各航空会社が行っていることは自由を保障する憲法に明らかに違反すると主張する。乗客の不安をそのままにしてまでなぜ No なのかと問われれば、それが憲法に則り正しいことだからだと即答する。"Do things right." ではなく、"Do the right things." の強烈なリーダーシップと言えよう。
彼のスピーチからはその信念、そして不屈不撓の精神がひしと伝わる。経験を重みとし、言葉に力がある。僕は果たして自分の口を開くときに、そういうことを意識したことがあっただろうか。彼の話には、無駄なものがなく、全てに意味が込められ、そしてチャーミングな笑顔でも人を魅了する。僕は彼の話をもっと聞きたくなった。
2011/08/23(火) | America | トラックバック(0) | コメント(4)