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美しき螺旋とフィボナッチ数列

今年後半は、アメリカで面白いサイエンス書の出版が相次いでいるように思う。一般的にアメリカの本がいいとも思わないし、本屋は全然面白くない。全米第二位の書店チェーンだったボーダーズが倒産するわけである。しかし、ことサイエンス書に関しては、英語で出版される書籍の充実度は素晴らしいの一言だ。これはもう、アメリカそしてイギリスにおける科学の歴史と、そしてサイエンスライターの裾野の広さによるところが大きいのだろう。

その中でもオススメしたい一冊は "The Man of Numbers: Fibonacci's Arithmetic Revolution"。 『数学で犯罪を解決する』の著者として知られるキース・デブリンの最新作である。フランク・ロイド・ライトがグッゲンハイム美術館で採り入れたスパイラル構造(貝殻螺旋)のアイデアは、数学的にはフィボナッチ数列を利用した螺旋として表現される。

Fibonacci.png

本書は、その数列に名前を残すイタリア人数学者レオナルド・フィボナッチ(本名レオナルド・ダ・ピサ)に焦点を当てたものである。フィボナッチが本名ではないことすら知らなかった僕にとって、彼の業績についても、あの有名な数列を発見した人だろ、くらいにしか認識していなかった。違うんだなあ、これが。彼はその数列すら発見したわけではなかったのだ。"Book of Calculation" の出版を通じて、アラビア数字による算術システムをヨーロッパに初めて紹介した人物、それが彼が数学史に名を残す理由なのである。

出版したその書籍の中で一つの例として取り上げたのが、あの数列だったのだ。知らなかったあ。しかし、だからと言ってフィボナッチへの評価を下げるわけにはいかないだろう。時は13世紀、ヨーロッパがまだローマ数字を使用していた時代だ。同じイタリア人の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチが生まれる250年も前の話なのである。当時においてはフィボナッチによる革命的な紹介だったからこそ、発見者不明のこの数列に彼の名が冠されたのだろう。そしてまた、アラブにおける数学レベルが世界最高峰であったことにも思いを馳せるわけである。そんなロマンに溢れた、数学史好きには堪らない一冊。


The Man of Numbers: Fibonacci's Arithmetic Revolution 数学で犯罪を解決する




2011/12/23(金) | Books | トラックバック(0) | コメント(0)

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