若き経済学者のアメリカBooks ≫ 「真打を目指している人達へ」

「真打を目指している人達へ」

「もう時間がありません。(中略)立川談志だっていつかは必ず死ぬのです。あと十年生きる保証はどこにもありません。」と、談志の弟子・立川談春が自著『赤めだか』の中で語ってからわずか三年半の後、立川談志が昨年11月にこの世を去った。

落語を聴きにぶらりと寄席に行くこともあった僕にとって、それは少なからぬニュースであった。ついに談志の噺を聴く機会はなかったのだが、談春の思い出話を今読みながら、改めてこの談志という人物がどれだけ破天荒な数寄者であり、いかに文字通りのクソ爺だったのかと想像する。享年75歳、戒名「立川雲黒斎家元勝手居士(たてかわうんこくさいいえもとかってこじ)」。

ぶっとんだ人物のぶっとんだ話というのは、本人ではなく、その最も身近にいる人が語る時が一番面白い。その意味で談春はまさに格好の語り部なのである。そのうえ文章がうまい。話すのが本業のはずなのに、こんなにも読ませるとはね。物語は、談春少年が競艇選手の道を諦め、落語家を目指そうと考えるところから始まる。弟子になるなら志ん朝か談志だという二択のうち、志ん朝に学ぼうと心は傾いていた。しかし、初めて聞いた談志の噺に「聴き終わったあと僕はしばらく立てなかった」ほどのショックを味わう。

その後すぐさま高校を中退し談志の自宅に押しかけて弟子入りを懇願。渋々ながらも認めさせ、その先はもう破茶滅茶な修行というか苦行が始まる。しかし本書は、そんな師匠に対する畏敬と愛情に溢れている。そしてそれは、談春一門を率いるようになって一層明確になる。例えば、立川流創設当時の昇進基準をそのまま適用し、二ツ目昇進試験で「(談志に)試されているのはお前達ではなくオレなのだ」と緊張したりするわけだ。そして最終章「立川流後輩達に告ぐ」にも明らかなように、改革者としての談志と継承者としての談春という関係は見ていて本当に清々しいものである。いずれ談春の噺を聴きに、僕もまた寄席に足を運ばねばならないだろう。

そんな談春が千原ジュニアと斉藤和義と共演した鼎談番組「ボクらの時代」。ご存知の方も多いと思うが、これがまた毎回イイ人選をする番組なのだ。そのセンスにいつも感心していたのだが、この三人が「芸とロック」について語り合ったこの回はぜひとも見てみたかったなあ。


赤めだか ボクらの時代 芸とロック  ~悩みながら前に進む







2012/01/06(金) | Books | トラックバック(0) | コメント(0)

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