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ダニエル・カーネマンと行動経済学

プリンストンの心理学者にして2002年のノーベル経済学賞受賞者、Daniel Kahneman. その彼が昨年著した "Thinking, Fast and Slow" は彼の行動経済学研究の集大成である。500ページの分量があるものの、一般向けに平易な言葉で書かれた本書は専門外にとっても読みやすい内容。今でこそ注目を集めるが、当時は誰も見向きもしなかったバイアス・過信・プロスペクト理論等の概念が丁寧に解説されていく。


Thinking, Fast and Slow

本書の内容とともに味わい深いのが、カーネマンの共同研究者そして盟友であった、今は亡き Amos Tversky との思い出。"In memory of Amos Tversky" と、本書が彼に捧げられているように、本文中においても、彼ら二人だけが当時から信じ続けた研究テーマについて、二人で歩きながら語らい、そして笑い合ったエピソードが散りばめられ、その一つひとつに思わず目頭が熱くなる。

僕はとくにこの文章にぐっときた。素晴らしいコンビだったんだなと改めて思うと同時に、研究者の幸せというのは、研究成果と同等以上に、成果が出るまでの道のりを共有できる、こうした盟友の存在なんじゃないかと感じた。本書が早く翻訳されることを願うばかりだ。

Amos was always very funny, and in his presence I became very funny as well, so we spent hours of solid work in continuous amusement. (中略) We were sufficiently similar to understand each other easily, and sufficiently different to surprise each other.



2012年11月、待望の翻訳書が登場。ぜひとも読んでおきたい、カーネマンの研究集大成!










2012/04/27(金) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

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