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人生で大切なことはみんな星新一に教えてもらった

「ステルス・マーケティング」という言葉や、「芸能人のステマ問題」といった記事を見かけるたびに、星新一の最高にクールな一編を思い出す。それが『だれかさんの悪夢』所収の「宣伝の時代」。個人が宣伝媒体となった近未来をおもしろおかしく描いたショート・ショートであり、その秀逸さは1,000を超える星新一の作品群の中にあっても、ひときわ鮮やかに今も僕の記憶に残っている。




彼が描いた世界を現代と比較してみるというのは、いま広告業界にいる人にとっても、そしてそんな狡猾な宣伝には騙されないぞと思っている消費者にとっても、大変に面白いことだと思う。(日経ビジネスの関連コラム

星新一のこの「宣伝の時代」のシュールさは、人間ひとりひとりの物理現象まで売り物にした世界を描いていること。くしゃみやまばたきをする度に商品名が口に出され、「おはようございます」「どうも」といった挨拶や口癖の度にその商品の効能の説明が自動的に始まる、といった毎日が繰り返される。その様はもう、人間なのか広告機械なのか判別できなくなりそうなほど。星新一ならではの、大変にブラックな世界が展開されているのだ。


もう一つ、星新一の鋭い洞察が顕著にあらわれているのが『マイ国家』。自分の家を独立国家として宣言し、日本国の役人と対峙する狂人の物語。しかしそれは、そもそも国家とは何か、という本質的な問いかけでもある。以前書いたようなホンジュラスでのチャーター・シティの取り組みや、東日本大震災後に熊本に新政府を設立した坂口恭平(『独立国家のつくりかた』)なども、今から40年以上も前に発表されたこの『マイ国家』にヒントを得たんじゃないのかしら?なんて思っちゃうよね。星新一の作品は年月を重ねても全く色褪せることなく、むしろ今読むからこそ、その先進で斬新なアイデアにようやく気づく。






2013/01/30(水) | Books | トラックバック(0) | コメント(0)

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