英語の会話でメロディやリズム・イントネーションといったものが重視されるように、英語は「音」と「声」で相手に伝える部分が大きいのだろう。そしてそれは自然な英文であれば、それこそ自然と備えておくべき特性と言えるのかも知れない。
しかし「そこの部分」が英語ノンネイティブの我々には大変大きな壁となるわけで、リズミカルな文章、メロディアスな文章を書くというのは、英語を話す以上に難しいように思う。その意味でも、上記2つのエッセイを個人的に最も興味深く読んだという次第だったのだ。
ちなみに、音という視点から捉えた英語ライティングの本というのは、洋書でも驚くほど少ないように思う。僕が知っているのは、以前リストアップし次のように紹介した、"Understanding Style: Practical Ways to Improve Your Writing" だけである。その意味でもこの本は大変に貴重かつ実用的なライティング教書なのである。上記エッセイで「音韻と英語のカンケイ」に興味をもたれたら、ぜひ一読をおすすめしたい。
本書 "Understanding Style" は、よい文章というものを sound & voice という観点から捉え直すという優れてユニークなアプローチを取っている。文章を読む際に、どの名詞・動詞・接続詞を強調して読んでいるか、そしてどこで息継ぎをして読んでいるかという「読み手側の論理」からの解説は、とくに英語ノンネイティブにとって役立つものだ。上記の style 本に象徴されるように、「書き手側のルール」は最低限守らねばならないことである。しかし、それだけでは読みやすい文章とはならない。ネイティブが音読しても読みやすい・分かりやすいと思える文章とするための視点がよくまとまっており、highly recommended な一冊
"Understanding Style" 冒頭より:
It may seem odd to begin a book on writing by talking about written "voices" and reading, but writing, reading, talking, and listening are more interrelated than most people realize. Good writers picture their readers and try to appeal to them directly. Readers in turn read between the lines, to get a sense of the person "talking" to them, almost as if they were listening to actual speech.

2012/09/06(木) | English | トラックバック(0) | コメント(1)