前回紹介した "Academic Writing for Graduate Students" と同様に素晴らしいアカデミック・ライティングのテキストが "English for Writing Research Papers". この本の特色はなんといっても、次の文章にあるように、対象を英語ノンネイティブに絞り込んでいるところ。
Publishing your research in an international journal is key to your success in academia. This guide is based on a study of referees' reports and letters from journal editors on reasons why papers written by non-native researchers are rejected due to problems with English usage.
確かに、これまでにリストアップしたものは全て、ノンネイティブかどうかを意識したテキストではない。そして、僕自身もそれでいいと思っていたのだ。文章が書けない英語ネイティブの友人もいれば、文章が書けるノンネイティブの友人もいるように、文章の基本ルールを学び実践するのに、英語が母国語か否かなんて、スピーキングやリスニングほどには重要なことではないんじゃないかと、そう思っていたワケだ。そんなマインドに、超重要だっつーの、と改めて叩き込んでくれたのが、この "English for Writing Research Papers" だったのだ。
章立ては、他の類書とはやはり相当異なり、例えば "Being Concise and Removing Redundancy" や "Avoiding Ambiguity and Vagueness" のセクションでは、ノンネイティブの文章にありがちな、まだるっこさ・もどかしさ・じれったさをどう取り除くべきかという解説がなされる。また "Clarifying Who Did What" や "Highlighting Your Findings" のセクションでは、主張が弱くなりがちなノンネイティブの文章に対し、論文の中で最も訴えなくてはならない貢献をどう強く明瞭に伝えるべきか説明されていく。英語ノンネイティブの弱点を深く理解していなければ作れない構成内容だと思う。
そして読んで感じるのは、「英語ノンネイティブ向け」のテキストが易しいとかいうことは全くないということ。むしろ、"Academic Writing for Graduate Students" のような英語ネイティブ向けに書かれたテキストを読み、それを実践した後でもまだなお埋め切れない隙間、そこを攻略しようというときに初めて、この「英語ノンネイティブ向け」ということが役立つのではないだろうか。その意味では、ライティング・テキストの最上級書と言ってもいいのかも知れない。
ちなみに著者はイタリア人であり、それがまた本書の内容をユニークなものにしていると思う。つまり、アメリカ人・イギリス人が書いたテキストであれば「ここまで英語ノンネイティブの気持ちは分からない」ということ。一方で日本人の手によるライティング書では、ここまでの信頼感を獲得するのは難しかっただろう。このイタリア人という絶妙なポジションを著者は大変によく分かっており、その強みを最大限に活用しているように感じられた。これはもう、日本人が知っておくべき 新・3大アカデミック・ライティングのテキスト、に加えるべき一冊だと断言しておこう。

章立ては、他の類書とはやはり相当異なり、例えば "Being Concise and Removing Redundancy" や "Avoiding Ambiguity and Vagueness" のセクションでは、ノンネイティブの文章にありがちな、まだるっこさ・もどかしさ・じれったさをどう取り除くべきかという解説がなされる。また "Clarifying Who Did What" や "Highlighting Your Findings" のセクションでは、主張が弱くなりがちなノンネイティブの文章に対し、論文の中で最も訴えなくてはならない貢献をどう強く明瞭に伝えるべきか説明されていく。英語ノンネイティブの弱点を深く理解していなければ作れない構成内容だと思う。
そして読んで感じるのは、「英語ノンネイティブ向け」のテキストが易しいとかいうことは全くないということ。むしろ、"Academic Writing for Graduate Students" のような英語ネイティブ向けに書かれたテキストを読み、それを実践した後でもまだなお埋め切れない隙間、そこを攻略しようというときに初めて、この「英語ノンネイティブ向け」ということが役立つのではないだろうか。その意味では、ライティング・テキストの最上級書と言ってもいいのかも知れない。
ちなみに著者はイタリア人であり、それがまた本書の内容をユニークなものにしていると思う。つまり、アメリカ人・イギリス人が書いたテキストであれば「ここまで英語ノンネイティブの気持ちは分からない」ということ。一方で日本人の手によるライティング書では、ここまでの信頼感を獲得するのは難しかっただろう。このイタリア人という絶妙なポジションを著者は大変によく分かっており、その強みを最大限に活用しているように感じられた。これはもう、日本人が知っておくべき 新・3大アカデミック・ライティングのテキスト、に加えるべき一冊だと断言しておこう。


2012/10/09(火) | English | トラックバック(0) | コメント(0)