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年末年始に読みたい経済書

年末になると日本でも海外でも、「今年のベストブック」特集が相次ぐ。そんな中から、年末年始で読みたい本をいくつかピックアップ。

1.Private Empire: ExxonMobil and American Power

今年の、Financial Times and Goldman Sachs Business Book を受賞した "Private Empire"。同賞候補には、"Why Nations Fail" やマイケル・サンデルの『それをお金で買いますか』、そして『スティーブ・ジョブズ』といった今年の話題作が挙げられていただけに、それらを抑えて受賞した注目作。ただ、アメリカの企業モノのノンフィクションって、『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』みたいに、膨大な資料と関係者インタビューを冗長に並べたものが多いだけに、本書もその類ではないかという気はするのだが。


Private Empire: ExxonMobil and American Power

The first hard-hitting examination of ExxonMobil, Private Empire is the masterful result of Coll’s indefatigable reporting. He draws here on more than four hundred interviews; field reporting from the halls of Congress to the oil-laden swamps of the Niger Delta; more than one thousand pages of previously classified U.S. documents obtained under the Freedom of Information Act; heretofore unexamined court records; and many other sources. A penetrating, newsbreaking study, Private Empire is a defining portrait of ExxonMobil and the place of Big Oil in American politics and foreign policy.








2.探求:エネルギーの世紀

上記 "Private Empire" が扱ったのがエクソン・モービルであり、当然エクソン・モービルと言えば石油。その石油の壮大な世界史に焦点を当て、昨年の Financial Times and Goldman Sachs Business Book 優秀作に選ばれたのが『探求:エネルギーの世紀』。世界のエネルギー問題に注目が集まる今こそ、以前書いたように、「20世紀 "は" 石油の世紀」と考える人にとっても、「21世紀 "も" 石油の世紀」と捉える層にとっても、読む価値の高い本と言えそうだ。


探求――エネルギーの世紀(上) 探求――エネルギーの世紀(下)

21世紀を支えるエネルギーはどこから生まれるのか? 世界的ベストセラー『石油の世紀』でピュリツァー賞を受賞した世界的権威が、福島第一原発事故を踏まえて描くエネルギーの未来像! 各紙絶賛のベストセラー。新エネルギー安全保障世界秩序の再編。世界的権威が見通す私たちの未来。下巻では、藻、スイッチグラスといったバイオ燃料、風力、太陽光といった再生可能エネルギー、内燃機関の進化、電気・水素自動車といった未来の技術に注目。普段は「エネルギー源」として考えていなかった「効率」や「節約」についても解説する。








3.貧乏人の経済学:もういちど貧困問題を根っこから考える

上記『探求』を抑えて昨年の Financial Times and Goldman Sachs Business Book 最優秀賞を受賞したのが『貧乏人の経済学:もういちど貧困問題を根っこから考える』。翻訳は山形浩生。週刊ダイヤモンドによる年末恒例の「経済学者・経営学者・エコノミストが選んだ『ベスト経済書』」でも、今年の第一位に選ばれたようだ。著者らのウェブサイトでは、研究成果やデータ等の情報公開が充実している。


貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える

貧困研究は、ここまで進んだ! 食糧、医療、教育、家族、マイクロ融資、貯蓄。W・イースタリーやJ・サックスらの図式的な見方(市場vs政府)を越えて、ランダム化対照試行(RCT)といわれる、現場での精緻な実証実験が、地道に、そして丹念に解決策を明らかにしていきます。








4.都市は人類最高の発明である

『貧乏人の経済学』に及ばず惜しくも同賞を逃したもう一冊が『都市は人類最高の発明である』。ハーバード大学の都市経済学者エドワード・グレイザーによる一冊。翻訳はまたしても山形浩生。相変わらず仕事はやいなー。都市論と言えばリチャード・フロリダの『クリエイティブ都市論』『クリエイティブ・クラスの世紀』がよく知られるところだが、"Super-Creative Core" というハイクラス職業人をどれだけ惹きつけられるかが都市繁栄のキーファクターだと主張するフロリダに対し、ただ単に人を集めるだけでなく、そうした人たちの交流を容易にする「近接性」こそが都市がもつアドバンテージだとグレイザーは反論する(The New Yorker)。


都市は人類最高の発明である

無秩序に広がる都市こそが、人類にとって最も必要なものなのだ! 都市が人類の進歩に果たしてきた役割を分析し、その重要性を明快に指摘する新しい都市論。著者は、「健康面でも文化面でもインフラの効率面でも環境面でもきわめて優れていて、都市こそは人類最高の発明である」、「都市を高層化・高密化させて発展させることが人類の進歩につながるのであり、その足を引っ張るような現在の各種政策はやめるべきである」と主張する。







5.ファスト&スロー:あなたの意思はどのように決まるか?

翻訳が待ち望まれていたダニエル・カーネマンの "Thinking, Fast and Slow" がようやく『ファスト&スロー:あなたの意思はどのように決まるか?』として登場。以前書いたように、カーネマンの共同研究者そして盟友であった、今は亡きエイモス・トベルスキーとの思い出話がほろりと涙を誘う。


ファスト&スロー (上): あなたの意思はどのように決まるか? ファスト&スロー (下): あなたの意思はどのように決まるか?

伝統的な人間観を根底から覆し心理学者にして、ノーベル経済学賞に輝いた著者の代表作。待望の邦訳。私たちは日々、無数の意思決定をなかば自動的に行なっている。カーネマンは、直感的、感情的な「速い思考(システム1)」と意識的、論理的な「遅い思考(システム2)」の比喩をたくみに使いながら、意思決定の仕組みを解き明かし、私たちの判断がいかに錯覚の影響を受けているかを浮き彫りにしていく。人間はこれまで考えられていた以上に不合理なのだ―。プライベートやビジネス、政治における、よりよい決断への道筋を示し、あなたの人間観、世界観を一変させる、21世紀に生きるすべての人、必読のノンフィクション。








2012/12/26(水) | Books | トラックバック(0) | コメント(0)

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