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サッカー監督の経済学

リオネル・メッシが、年間最優秀選手に贈られるバロンドールを4年連続で受賞ということに、僕らはもうあまり驚かない。むしろメッシと同時代に生きるクリスティアーノ・ロナウド等、他のスタープレイヤーに同情の念を抱いてしまうことの方が多いかも知れない。

だから彼が次々と記録を塗り替え(How did Messi break Muller's record?)、より高額の年俸を得ようとも、全く驚かないだろう。このパフォーマンスであればそれくらい貰って当然だと、そう思うのが自然だろう。







翻ってサッカーチームの監督。彼らのパフォーマンスは選手ほどには明らかではない。現在のバルセロナの黄金時代を築いたグアルディオラに対しても、あれだけの選手が揃っているチームを指揮したら、そりゃあオレだって好結果残せるさ、と噛み付く人は一人や二人や三人どころではないだろう。

サッカー選手に対する評価のしやすさと、サッカー監督に対するそれの難しさを、『「ジャパン」はなぜ負けるのか─経済学が解明するサッカーの不条理』(原題:Soccernomics)の著者サイモン・クーパーは "It’s easy to judge players, because they do their jobs in public, sometimes in front of millions of judges." と書いている(Football’s best managers)。

確かに、以前にも「フットボールの統計学」で書いたように、マンチェスター・シティがプレミアリーグの選手全データの無料公開に踏み切る時代だ。"millions of judges" 程度では済まない世界中のサッカーファンが、各選手の一挙手一投足を凝視し評価していると言ってもいいだろう。

しかし一方のサッカー監督は、データの少なさもあって、選手ほどには「年俸泥棒」と罵られるようなプレッシャーはかかっていない("But football does a bad job of valuing managers.")。また、その『「ジャパン」はなぜ負けるのか』の共著者 Stefan Szymanski は最近のWSJの記事(The World's Most Coveted Coach)でも、極めて少数の監督のみがチームに付加価値を与えることができていると主張し、最強のバルセロナを率いてきたグアルディオラに対しては、バルセロナの経験だけしかないために、モウリーニョのように複数のチームを経験した監督と比べると評価するための判断材料が乏しいという見方を提示している。

Guardiola isn't one of them yet. When Barcelona appointed him in 2008 at age 37, the extent of his managerial résumé was one season in charge of the Barcelona B team, a reserve side used as a feeder to the main squad. And whereas Mourinho has won titles in Portugal, England, Italy and Spain, Guardiola's array of 14 major trophies all came with Barcelona.

"I can't distinguish Guardiola from Barcelona, but I certainly can distinguish Mourinho from the clubs he's managed," Szymanski said. "We've got far more data on which to evaluate Mourinho. Guardiola, he's just the risky bet, isn't he? He might be a good bet. But whatever he is, he's definitely going to be riskier than Mourinho as an alternative."




そのグアルディオラが、ドイツの強豪バイエルンと3年契約を結んだというニュースが流れたのが一昨日のこと。彼は果たしてバイエルンでも好成績を納め、バルセロナの繁栄は選手によるもの(だけ)ではなく、彼の監督手腕によるものだったと見せつけることができるだろうか。それとも Szymanski が言うようにやはり "risky bet" だったと自ら証明してしまうのか。

サッカーファンにとってはもちろんのこと、サッカー・エコノミストにとっても、注目度の高い新たなシーズンを迎えることとなりそうだ。






2013/01/18(金) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

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