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山本兼一『利休にたずねよ』と品性と執着と俗欲と

これは面白いと唸った一冊。まさか美を極めた利休をこんな風に描いてくるとは思わなかった。艷(つや)やかで艶(あで)やかで艶(なまめ)かしい。

秀吉と利休はまったく異なる品性を備えていたと思われがちだが、二人の執着や俗欲ぶりが瓜二つのようにも思えてくる。ただその対象が異なっていた、ということだけなのかも知れない。

やんちゃだった少年時代と命がけの恋、失敗を経ながらも古物商として頭角を現し、当代随一の茶頭に成り上がる。そのサクセスストーリーの一方で、時に鋭すぎるほどの才覚は師匠からも窘められ「利を休めよ」という助言とともに「利休」の名を授かる。

しかし彼のそのセンスが休みを挟むことはなく、それは秀吉にとっては絶え間ない殺意そのものであり、だからこそ返す殺意で彼に自らの腹を切らせた。どちらかが死を選ばねばならないほどに、この二人はよく似ていて、それゆえにお互いに対する近親憎悪があったように感じられてならない。


利休にたずねよ (PHP文芸文庫)

女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、天下一の茶頭へと昇り詰めていく。しかしその鋭さゆえに秀吉に疎まれ、切腹を命ぜられる。利休の研ぎ澄まされた感性、艶やかで気迫に満ちた人生を生み出した恋とは、どのようなものだったのか。思いがけない手法で利休伝説のベールが剥がされていく長編歴史小説。第140回直木賞受賞作。

2013/05/24(金) | Books | トラックバック(0) | コメント(0)

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