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アメリカ史上最大の美術品盗難事件、いよいよ解決か

事件発生から既に23年が経過し、もう迷宮入りかと思われていた史上最大の美術盗難事件が、ここにきてついに全面解決へ向けて大きく前進したようだ。

ロイター)米連邦捜査局(FBI)は18日、ボストンの美術館で1990年に起きた米国史上最大の美術品盗難事件について、容疑者を特定したことを明らかにした。同事件は23年前の3月18日にイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館で発生。警官を装った2人組が、レンブラントの「ガラリアの海の嵐」やマネの「トルトニ亭にて」、フェルメールの「合奏」など計13点を奪い、被害総額は5億ドルに上った。



以前「美術盗難事件 vs FBI美術捜査官」で書いたように、本書『FBI美術捜査官』は、美術盗難事件を追ったFBIの活動を描いたノンフィクション。今回のガードナー美術館の盗難事件では、FBIの組織的へまによって千載一遇の逮捕のチャンスを逃し、解決の糸口を掴みそこねたという点が一番の読みどころだろう。歴史にもしもはないのだけれど、あのときもっと組織立った動きが取れていれば、こんなにも長いこと未解決とはなっていなかったはずなのだ。



全世界で三十数点しか現存していないフェルメール作品は、歴史的に見ても、極めて高い頻度で美術盗難の対象となってきた。23年前にガードナー美術館から盗み出されたフェルメールの「合奏」もその中の一点だ。「フェルメールの旅」で書いたが、この美術館には現在、同作品が展示されていたのと全く同じ場所に、空の額縁が寂しくかけられている。主の帰りを待ち続けるこの額に、再び生気が戻るのはもうすぐなのだろうか。




そんな希少なフェルメール作品と、フェルメールという人物の数奇な人生を描かせたとき、生物学者の福岡伸一ほど美しく彼の表情を言葉として表現できる文筆家はいないだろう。「フェルメールへの誘い」で振り返ったように、彼のエッセイ『フェルメール光の王国』は、僕をアメリカでフェルメールの旅に誘い、次はオランダへと向かわせようとしている。ふとした偶然で目にした「オランダの光を紡ぐ旅」は、僕にとっては福岡伸一の最高の作品というだけでなく、およそ文章とよばれるものの中にあっても、とりわけ鮮やかに心に焼きついた一篇なのである。




こちらは一転、ロンドン警視庁と、あの有名なムンクの「叫び」強奪犯との知的格闘。この事件では、ほぼ無傷のままでムンクの傑作を奪還できたからよかったものの、アメリカでもイギリスでもその他諸国でも、まったく手がかりがないまま歴史の舞台から姿を消してしまう名品も多い。まずはガードナー美術館事件の、一日も早い完全解決を期待したい。




2013/03/23(土) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

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