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伊東豊雄とプリツカー賞とこれからの建築

今年のプリツカー賞を伊東豊雄が受賞したという、とても嬉しいニュース。2010年には、妹島和世と西沢立衛のユニット SANAA が受賞したばかりであり、建築界における日本人の活躍ぶりを改めて見せつけられる思いだ。

日経)建築界のノーベル賞といわれ、優れた建築家に毎年贈られる米プリツカー賞の今年の受賞者に日本の伊東豊雄氏(71)が選ばれた。同賞を主宰するハイアット財団が17日発表した。日本人としては丹下健三氏、安藤忠雄氏らに続き6人目。ハイアット財団は「斬新な発想と素晴らしい建物づくりの組み合わせ」をたたえた。




「金沢21世紀美術館~愛の軌跡~」で書いたように、SANAAの代表作、金沢21世紀美術館は大変に美しい建築だ。その妹島和世が最初に勤めたのが伊東豊雄建築設計事務所だった。伊東の今回の受賞を誰よりも喜んでいるのは、ひょっとすると妹島なのかも知れない。

そんなプリツカー賞の歴史をまとめたのが、『プリツカー賞 受賞建築家は何を語ったか』だ。本書では2010年(つまりSANAA受賞の年)までの受賞者の横顔と作品群を文字通り色鮮やかに見せる全編カラーの一冊。写真やデッサンも豊富で、眺めているだけでも十二分に楽しめる内容だ。

ただ一つ残念なのは翻訳書の値段の高さ(15,000円)。これはいくらなんでもヒドイなぁと思ったのは、英語の原書は3,500円程度であること。本書はテキストを「読む」よりも、図鑑のようにグラフィックを「眺める」時間の方が長いだろうから、これだけの価格差を考えると、ここはぜひとも原書 "Architect: The Work of the Pritzker Prize Laureates in Their Own Words" の方をおすすめしたい。





伊東豊雄自身の作品については、様々な関連書があるものの、僕が一番好きなのは日経アーキテクチャの「建築家シリーズ」。その第一弾として登場した伊東豊雄の号は、デビュー作から2010年現在までの作品を網羅した他、ロングインタビューや、妹島が語る伊東、コンペで議論紛糾した「せんだいメディアテーク」、そして設計事務所を切り盛りするための仕事術・発想法・組織論などなど、盛り沢山の内容。

何よりも、「重い建築への反発があった」と語った1985年、「設計をやめようと思った」と吐露した2001年、そんな変化し続ける40年を自ら語った本書は、伊東豊雄という人物像にとことん迫ろうとする内容だ。それ以外にも、建築に関する技術的な説明もふんだんにあり、素人としてとても勉強になる一冊だった。





『あの日からの建築』は、東日本大震災後に大量に設営された、被災者のつながりを分断する仮設住宅を目の前にしたとき、建築家に何ができるのかを考え実践してきた記録。その思想は、心のよりどころとしての「みんなの家」として結実した。伊東が目指す「これからの建築」については、こちらのインタビューも詳しい。

・伊東豊雄インタヴュー──伊東建築塾の1年、「みんな」で考えるこれからの建築





2013/03/22(金) | Art | トラックバック(0) | コメント(0)

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