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顔認証と個人情報とプライバシーの経済学

ニューヨーク・タイムズの記事 "Letting Down Our Guard With Web Privacy" が面白い。カーネギーメロン大学の行動経済学者、Alessandro Acquisti 等のチームによる「プライバシーの経済学」の最先端を取り上げた内容だ。

一昨年には、フェイスブックにアップされた大量のプロフィール写真を集め、顔認証技術を用いて本人を特定するばかりか、さらにはそこから個人の SSN(Social Security Number:社会保障番号)まで割り出すことが可能だという実験結果を示し(発表スライド "Faces of Facebook")、世界に衝撃を与えた研究チームだ。

facerecognition.jpg



彼の研究成果は、"despite how much we say we value our privacy — and we do, again and again — we tend to act inconsistently" であることを示すものであり、現在は、ソーシャルネットワークが就職活動中の求職者にどのような(悪)影響を与えるかについて取り組んでいる。

「プライバシーの経済学」のパイオニアであであり行動経済学者と紹介されるものの、彼自身は "Information Management and Systems" の分野でPh.D.を取得し、いまはカーネギーメロン大学の "Information Technology and Public Policy" の准教授であるなど、経済学の本流を歩んできたわけではない。

それでもこの分野を開拓した第一人者であり、Journal of Economic Literature に "The Economics of Privacy" を近く掲載するわけだから、経済学への貢献は大きい。そんな彼の生い立ちとモチベーションが興味深い。

イタリアに生まれ、アイルランドと英国に学び、その後にカリフォルニアにやってきた彼は、その地で "Do Americans value their privacy?" という疑問を持つ。これが、その後の彼のキャリアを形作る、シンプルにしてパワフルな big question となった。

米国の外からやってきたアウトサイダーであり、経済学の外から現れたアウトサイダーでもある。その姿はまるで、「ダニエル・カーネマンと行動経済学」で書いたように、心理学者にして2002年のノーベル経済学賞を受賞した、行動経済学の創始者ダニエル・カーネマンを想起するようなアプローチでもある。

ここ数年の行動経済学ブームを見ていると、「次に来る」のはこのウェブとプライバシーの経済学の分野かも知れない。だからここは一つ、この波に乗り遅れちゃいけねえ!ではなくて、こういうときこそ自分にとっての think big と think different を大事にしたいものである。

最後に大事なことを付記しておきたいのだけれども、同教授のフェイスブックプロフィールでは、バイクのヘルメットで顔が分からない写真が使われているらしいよ(笑)







2013/04/03(水) | Economics | トラックバック(0) | コメント(2)

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2013/04/04(木) 20:03:59 | | [ 編集]

tikin

『Re: アクイスティ先生の明治大学でのレクチャー』

なんとそのようなセミナーがあったとは、教えて頂きありがとうございます。先ほどウェブサイト確認してみたのですがまだのようでしたので、動画がアップされるのを待ちたいと思います。

2013/04/05(金) 00:29:26 | URL | [ 編集]

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