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メガチャーチのメガ化が止まらない

これまでに何度か取り上げた、アメリカ人友人の大家族。いつも大変よくしてもらっており、一年のうち夏かクリスマスには必ず遊びに行くようにしている。そんな彼らが通う教会がいま、さらなる進化を遂げているのだと最近知ることとなった。





僕はこの家族を通じてアメリカ社会を垣間見ることが多い。それは大学関係者と付き合っているだけでは決して得られないであろう驚きの連続であり、その一つ一つの衝撃は今も新鮮なまま僕の中に残っている。

・宗教観の衝撃
・家族観の衝撃
・教育観の衝撃

そして、そんな数々のオドロキの中でも最大級のものが、このメガチャーチと呼ばれる、アメリカの現代宗教を象徴する巨大な教会のマネジメントであり、マーケティングだったのである。

・メガチャーチの衝撃

しかし、僕はもう驚かない。これらメガチャーチのメガ化がさらに加速していると知っても。



さて、そんな老夫婦の簡単なプロフィールは以下のとおりだ。

・都市部から車で一時間程度の郊外に在住
・白人夫婦二人(70歳代)で田舎道に立つ一軒家に生活
・旦那は中小企業を経営、奥さまは別途有職
・子供4人はいずれも既婚・子持ちで近所の新興住宅街に暮らす
・老夫婦二人で日曜日の教会通い(伝統的教会)を欠かさない
・子供夫婦・家族たちはそれぞれ別の教会に通う
・老夫婦は共和党支持



そして、あのメガチャーチに通っているのは末っ子である次女の夫婦(30代後半)と4人の子供たち(10歳、8歳、5歳、3歳)である。その巨大教会に、日曜日に一緒に連れて行ってもらい、繁盛ぶりを見せつけられたほか、隣町にも新しくできるんだと聞いたのが今から4年前のことだった。

実際、今回僕が訪れたこの教会も、今月には隣町にさらに大規模な教会をオープンすることが決まっている。教会を「オープン」するとは何とも奇妙な言い回しに聞こえるが、そうとしか表現しようのない商業施設のような建造物が、そしてそこに集まってくる人々が、この地にはあるのである。



それが何と、現在では既に、周辺の地域一帯で合計6キャンパスを構えるまでに拡大しているらしい。思わず、へぇ~巨大教会を数える単位って「キャンパス」なんだーとか、細かいことに面白さを感じてしまったのだが、この新設ラッシュは目を見張るものがある。ウォルマートだってこんな勢いで出店することはないんじゃなかろうか。


neighborhood.jpg



そしてこの教会の躍進ぶりはどうやら全米でも注目されているようであり、"Top 100 Fastest Growing Churches" とか "2013′S TOP RANKED CHURCHES IN AMERICA" にもランクインしている。

確かにこの教会の信者勧誘ぶりは徹底している。友人に連れられていった僕に対しても、名前・住所・メールアドレス等々の個人情報をいたるところで確認しようとしてくる。もちろん、ウェブサイトは綺麗につくられている他、フェイスブック・ツイッターといったソーシャルなツールも駆使している。

教会ではロックが流れ、説教クサイ話もあまりない。伝統的な教会に見られるような密な人間関係はないけれど、新興住宅街の若いファミリー層には、それがちょうどよい距離感となっているみたいだ。もちろん、地域密着の古式教会に通う老夫婦にとっては、こうした新しいタイプの教会というのは、あまり面白いものではないようだけれども。

さて、そんなニュータイプの巨大教会はビジネス顔負けのマーケティングを展開している。入会(入信?)キャンペーンが続々と展開され、いったん信者になった人には今度はなるべく多く教会に通ってもらおうと、日曜日以外でも様々なプログラムや催しが用意されている。もちろん、そのたびにさりげなく寄付を求めてくるのは言うまでもない。あの集金マシンは恐ろしいほど機能していると思わざるをえない。

とはいっても、全米最大のメガチャーチは、そのメガさがさらに桁違いだ。上記のランキングで紹介されている、規模で米国ナンバーワンの教会は、テキサス州ヒューストンにあるレイクウッド・チャーチ。以下の写真が示すように、もはやコンサート会場だかスポーツ会場にしか見えない。こうしたメガチャーチについては、慶応大学の渡辺靖が詳しい。『アメリカン・コミュニティ―国家と個人が交差する場所』では、アリゾナ州にある全米最大級のメガチャーチを訪問した記録が、そして『アメリカン・デモクラシーの逆説』では巨大教会がアメリカで勢いを増す社会的背景が解説される。僕もいつかそんな"超"巨大教会に実際に行って見てみたいものだが、見に行くのさえも恐ろしい、そんな場所なのかも知れない。



Lakewoodchurch.jpg








2013/04/06(土) | America | トラックバック(0) | コメント(0)

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