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エルゼビアがメンデレーを買収:どうなるオープンアクセス?

前々から噂されていたが、メンデレーが買収されることが決まったようだ。

(Guardian) Publishing group Reed Elsevier has upped its efforts to build its digital business with the $100m (£65m) acquisition of London-based academic social network Mendeley.



以前書いたように、メンデレーは論文管理をするだけでなく、研究者間で共有し、さらには共同研究を促すプラットフォームを提供する「アカデミックのソーシャルネットワーク」だ。(London/New York-based provider of a platform for academics to share research and collaborate with each other via a social network)

・クールで野心的な Mendeley


この企業の独創性や革新性、ひとことで言ってしまえば「飛び抜けたクールさ」は、雑誌WIREDの記事「知のシェア – 学術論文における理論と実践」が、余すところなく伝えていると思う。そんなクールなスタートアップが、大手出版に、それもよりによってあのエルゼビアに買収されてしまうことに対し、研究者コミュニティは複雑な受け止め方をしているのである。


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あのエルゼビアというのはもちろん、これも以前紹介したように、様々な分野から集まった世界4,000人以上の研究者が、同社に対して "won't publish, won't referee, won't do editorial work" と強烈なボイコットを展開した、あのエルゼビア社のことである。

・Beware the Academic spring


研究成果、査読、編集と、研究者が提供する様々なサービスを囲い込み、高額な購読料を支払う大学等の機関にしか提供しない出版社に、研究者の怒りが爆発した形だった。このネットの時代に、それも税金が投入された研究も多いにも関わらず、一般の人々に自分の研究成果を知ってもらうことさえできない、というもどかしさも手伝っただろう。

一方のメンデレーは、オープンなアクセスとプラットフォームを目指したものであり、その思想はエルゼビアを始めとする伝統的な学術出版社とは大きく異なる。だからこそ、クローズドなビジネスに固執するこの業界に一石を投じるどころか、メンデレーこそがその旧秩序を破壊し、新たなモデルを提供できるポジションにいるのではないか、そんな期待を抱いていたのはもちろん僕だけではない。以下のような記事でも、今回の買収が様々な視点から議論されている。

・Elsevier buys Mendeley: your reaction

・Elsevier (giant for-profit scholarly publisher) buys Mendeley (free citation manager and discovery tool)


$100mという金額を考えても、大手への売却を決めたメンデレー経営陣の決断は、おそらくは賢明なものだったのだろう。しかし、彼らが独立したまま、この業界でもっと暴れてくれていたら、という思いは拭いされない。翻って、「よく会社を売らなかったな」とスティーブ・ジョブズにも言われた、フェイスブックのザッカーバーグ。成長途上で何度か売りそうになりながらも、自分こそが世界を変えられる人間だ、という強烈な自負が最後は勝った。

才気溢れたメンデレーに、もしも何か欠けていたものがあったとすれば、ジョブズやザッカーバーグが持っていた、誰も見たことのないその先の世界を見続ける「狂気」だったのではないだろうか。そんな気がして止まない。








2013/04/12(金) | News | トラックバック(0) | コメント(0)

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