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アメリカの医療と health economics

以前紹介した "The Measure of a Nation." 医療、安全保障、教育、民主主義、平等のそれぞれのテーマで章立てされており、他国と比べた際の米国の強さと弱さがどこにあるのか、データを提示しながら議論を進めていく本書は、これらの分野の applied microeconomist にとっても読んで面白い内容だと思う。

今年のジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞したRaj Chetty が述べるように("I think a lot of what I do is inspired by the real world – reading the newspaper, thinking about what people are talking about and experiencing.")、個別の論文を議論する前に、そもそも何がいま real world で重要なのかを、国連で働く statistician が本書 "The Measure of a Nation" の中で解説していく。


・新著『昨日までの世界』のジャレド・ダイアモンドが薦めるこの一冊





上記 "The Measure of a Nation" では最初の章が「医療」に充てられているように、いわゆるオバマケアを始め、米国内での医療制度改革のインパクトは大きい。以下はその米国の医療の現状について、それぞれの専門家が詳しく解説したもの。とはいえ、その多くが一般読者に向けて書かれているように、いずれも一読することで「そもそも何が問題なのか」が分かる良書だと思う。


1.American Health Economy: Illustrated

本書は American Enterprise Institute から出版されているように、米国医療白書のような内容だ。既存の学術研究の話はまったく出てこないが、Illustrated と銘打ってあるように、データとグラフが豊富。左ページに解説、右ページにデータという見開き2ページで一つのトピックを抑え、医療産業の構造から、政府支出の拡大、企業と雇用といった幅広いテーマについて議論する。

American Health Economy Illustrated



2.Health Policy Issues

本書は、"I believe that an issue-oriented book containing short discussions on each subject and using an economic perspective is needed." と著者が述べるように、多種多様な health issue について、データ&経済学的な観点で解説したもの。改訂ごとにトピックが追加されてきており、最新第5版では更に網羅的にカバーされている。

Health Policy Issues: An Economic Persepective



3.Incentives and Choice in Health Care

本書はそのタイトルが示す通り、より経済学的な視点を加え、かつ先行研究を紹介する内容。Handbook シリーズのようなアプローチではあるが、著者らが目指すのは、より general audience へのリーチ。この分野の経済学者が集まったコンファレンスが基となっており、各者の関心が色濃く反映されたものとなっている。

Incentives and Choice in Health Care



4.Health Economics

本書は、昨年出版されたばかりの同分野のテキスト。経済学部だけでなく、公共政策やメディカル・スクールの学生の関心にも配慮した内容構成となっている他、米国だけでなく海外の医療政策にも言及しているのが大きな特徴。その意味で、非常にバランスの取れたテキストとなっており、同分野の新しいスタンダードとして利用されるかも知れない。

Health Economics




2013/06/14(金) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

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