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25年ぶりのマーク・ピーターセン『実践 日本人の英語』は優れた英文ライティング・テキスト

今年4月に出版されたマーク・ピーターセンの『実践 日本人の英語』を読み終えたが、素晴らしい内容だと思う。とくに「日本人が書く英語」に対して鋭い指摘が多く、英文ライティングに関する必読書となるのではないだろうか。




著者が1988年に著した『日本人の英語』、そして1990年に出した「続編」はすでに古典的名作として名高い。であるならば、氏の今回の新作「実践編」はまさに新たな古典と呼ぶに相応しい内容だ。






ピーターセン氏はもう長いこと明治大学で英語を教え続けているが、その彼がもつ次のような認識が、本書執筆の動機となっている。

(一昔前と比べて)現在の大学生の方が、聞き取りと発音については幾分かよく出来るようだ。ところが、その代わりと言うべきか、英文の「読み書き」が明らかに出来なくなってきている。



これが近年の「オーラル・コミュニケーション重視」の英語教育の弊害なのかどうか、氏は断定を避けてはいるものの、大学生に英作文を教える中で出会った「文法的に有り得ない文章」や「極めて子供じみたセンテンス」が増加していることを憂慮しているのである。


例えば、「彼はよく大学時代の恋人を思い出す」という例文を題材にとり、a と the と 単数/複数について解説する。ポイントは、この文に対応する英文は以下の4通りあり、それぞれ文法が異なるところ。

(1)恋人が一人しかいない場合
(2)恋人が複数おり、そのうちの一人を思い出す場合
(3)恋人が複数おり、そのうちの複数を思い出す場合
(4)恋人が複数おり、その全員を思い出す場合


それにしても、なぜこんな些細なことを、ここまで細かく場合分けして考える必要があるかと言うと、それはこの男が学生時代に一体全体どれだけのモテ男だったのか、我々は並々ならぬ関心を持っているから、ではもちろんない。


そうではなく、そのニュアンスをきちんと表現しないと、まったく違った印象どころか決定的な誤解を与えてしまうからである、というのを以下のフォローアップ例文で説明する。

(A)The government plans to phase out nuclear power plants in Japan.
(B)The government plans to phase out the nuclear power plants in Japan.

(A)は原子力発電所の「いくつかを」、(B)は「すべてを」段階的に廃止するという意味となり、その違いは恋人の例文のように「些細な話」と言えるようなものではない。だからこそ、a, the, 単数/複数を、伝えたい内容に合わせてきちんと使い分けることが絶対に必要なのだと著者は力説する。


その他にも、日本人の英作文が陥りがちな「マイ問題」や「could 問題」、副詞/however/for example の位置、そして因果関係の緊密さによって because/since/as/and をどう使い分けるべきなのか等々、それこそ実践的な数多くのアドバイスが続く。


以前おすすめの英文ライティング・テキストをリストアップしたが、その中で和書のものは数少なかった。そのうちの一冊である越前敏弥『日本人なら必ず誤訳する英文』と合わせて、本書『実践 日本人の英語』は新書ながらも極めて役立つ英文ライティング書として、真っ先に推薦したい一冊である。

・英文ライティングおすすめ参考書






2013/07/18(木) | English | トラックバック(0) | コメント(0)

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