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留学で辛くなったときに読む本 3

「辛く」はなくとも、「しんどい」道のりを歩き続けるのはやはり大変なことだ。そんなとき、読む度に勇気づけられるのが、「留学前にやっておきたかった読書(ココロ構え編)」でも紹介した、『プロフェッショナル 仕事の流儀<13>』。弁護士・村松謙一、漫画家・浦沢直樹、コンピュータサイエンティスト・石井裕の3名を収録したものだが、石井裕について書かれたページは本当に何度も読み返した。

MITメディアラボ教授、石井裕。分野は違えど彼ほど尊敬できる日本人研究者はいない。彼くらいの考え方、動き方、生き方をしていかないと、アメリカの研究最前線で活躍し続けることはできないのだろうと思う。そういう緊張感を持ち続けるためにも、僕は彼の言葉を、それこそ何度も何度も読み返す。

研究者としての石井は2つの限界を強烈に意識している。一つは時間の限界であり、もう一つが能力の限界だ。自分は50年後にはこの世にいない、それではその限られた時間の中で、未来に向けて自分は何を残せるのかと問い続ける。だから無駄に過ごす時間は全くなく、いつも駆け足でキャンパスを走り抜ける。能力についても、自分は平凡だからこそ、非凡な同僚の二倍、三倍と努力を続け何とか成果を出しているのだと言う。自分のアイデアの大半がゴミだと言い切る姿勢には凄みを感じる。なぜなら石井本人が言うように、研究者とは自分のアイデアを愛す生き物であり、その愛そのものがアイデアの発展の障害ともなるからだ。

彼は明らかに、自分の死後の世界を基準にして今を見つめている。それくらいの達観なのだ。ハードウェアやソフトウェアの発明はせいぜい10年か20年しかもたない、しかしヴィジョンを創造できるならば、それは自分の死後100年も残り、次世代に影響を与え得るものになるのだという認識である。印象深い台詞が以下だ。(技術について語るとき)「芭蕉の句とハイビジョンTVとでは、どちらの情報量が多いか」(という哲学的なレベルでの議論が重要になる)。

最後に、彼が常々学生に投げかけている言葉を、自分に向けられたものと思い、ここにも記しておこう。どの分野であっても、世界に通じる研究者を目指している者に参考になるものだ。

1.妥協をするな。つまらない制約は受け入れるな。大胆にワイルドな発想で研究しよう
2.忙しく働くならば誰にでもできる。大事なのは自分のエネルギーやアイデアを傾注するに値する本質的な「問い」をいかにして発するかだ
3.飢餓感と屈辱感がエネルギーの源。「今に見ていろ」という気持ちを忘れるな
4.アーティストであり、デザイナーであり、エンジニアであり、フィロソファーであれ
5.私が怒るのは、学生が素晴らしいアイデアや才能を持っているにも関わらず、頑張り切れず、アイデアを十分にものにできずに、最高の値段で売らないときだ







2009/06/12(金) | Books | トラックバック(0) | コメント(0)

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