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アメリカ教科書考

以前書いたように、今学期のマクロ経済学では、"Introduction to Modern Economic Growth" by Acemoglu をテキストとして用いた。この本が届いたとき、僕は二つの意味で溜息をもらした。一つ目はそのサイズの大きさと、重量の重さにだ。アメリカで用いられる教科書には、分厚く嵩張るものが多い。その中でもこの本はかなりのヘビー級だ。やれやれ毎回の授業に持って行くのもエクササイズだな、という嘆きの溜息だ。

ちなみに、この一つ目の溜息を解消しようというのが、amazon の電子書籍リーダー Kindle の狙いでもある。だからアメリカの出版事情と教科書事情を考えると面白い試みだと思うが、どう考えても日本ではウケないよなぁ。

さて、Acemoglu のテキストで漏らした二つ目の溜息は、その装丁の美しさに対してだ。思わず「う、うつくしぃ」という言葉が漏れたし、未使用のまま書棚に飾っておきたくなるくらいだ。とくに経済学テキストでは、せいぜい数式や幾何学模様があしらってある程度の表紙が大半である中、この素敵な装丁デザインは特筆に値する。艶消しの黒という色合いと、肌触りがまず素晴らしい。そしてそれ以上にセンスを感じるのが、書籍の表紙として選んだこの絵だ。

acemoglu.gif

知っている絵ではないので調べてみると、1927年 Elsie Driggs 作の "Queensborough Bridge" ということだ。Precisionism の一人として、近代化・工業化にひた走るアメリカを、その象徴である工場や各種建造物を通して描き続けた作家だ。

大恐慌を迎えるまでの1920年代は、アメリカにとっての黄金時代。1922年にはフォード・モデルTの量産がピークを迎え、1928年にはクライスラービルが着工する。未曾有の景気に沸いた、まさに mighty America の growth の時期だ。Growth theory という少々 old fashion な経済理論のテキストの表紙にするのに、これほど相応しい時代はないだろう。

それから僕は個人的にも、アート作品とともに建築・建造物が大好きなのだ。その中でも橋は、美術館や高層ビルと並んで好きな建物だ。見ているだけでワクワクするし、その上歩けたりしたらもうドキドキものだ。だから、早速行ってきた。この、Queensborough Bridge そのものと、この絵画を所蔵する美術館に。教科書に触発されて現地に行ったり、美術館に行くなんて今回が初めてだったのだが、こんなキッカケもありだと思う。



2009/06/26(金) | Economics | トラックバック(0) | コメント(0)

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