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稀代の勝負師の勝負対談:岡田武史 vs 羽生善治

サッカー日本代表の元監督・岡田武史と、棋士・羽生善治の対談「勝負哲学」を Kindle で読んでいるのだが、とても読み応えがある内容だと思う。




以前にも書いたように、僕は羽生善治の著書を何冊か好んで読んでいるのだが、勝負における直感と論理のバランス、プレッシャーとひらめき、情報収集と戦略などなど、興味深い話がとても多い。

・羽生と将棋と大局観


一方の岡田元監督にしても、『勝利のチームメイク』という本の中で、リーダーシップとマネジメント、選手を切り捨てる非情の采配、敵を欺く情報戦などなど、独自の監督哲学を披露している。野球の古田敦也、ラグビーの平尾誠二といった、スポーツ界を代表する知性との対談は、読者としてもエキサイティングな内容であった。




そんな岡田武史と羽生善治が対談したのだから、本書『勝負哲学』はもう面白くならないワケがない、というワケなのである。



個人的に興味深く読んだのが、岡田監督が日本代表を率いた当時のワールドカップ。「ベスト4」を目標にぶち上げて物議と白けムードを醸したと振り返りつつも、それは決して選手を鼓舞するための高い目標だったわけでなく、「ベスト4までの筋書きがちゃんと描かれていた」というエピソード。

初戦の相手はブラジルかアルゼンチンでそこに勝利。そして準決勝まで勝ち進んだ後の相手はドイツ。1対0で劣勢ながらもタイムアップ寸前に同点に追いついて延長戦。その後、相手守備陣に反則があるものの日本にPKは与えられず、逆に日本はまったく反則していないにも関わらずドイツにPKが与えられてしまい・・・。

という「壮大なシミュレーション(妄想)」があったと披瀝する。なるほど。それは確かに面白いし、そんな展開を見てみたかった。しかし当時それを明らかにできるはずもなく、また明かしていてもさらに変人扱いされるだけだったことだろう。監督とは一人ビッグピクチャを描き、心に留め、それを具現化するべく邁進する孤高の勝負師なんだというエピソードと言えるのではないだろうか。

そしてもう一つ僕にとって強烈な印象となったのが、岡田と羽生がプレッシャーと勝利について共感しあう以下のくだり。

羽生「プレッシャーがないと充実感もありません。(中略)精神的にきつい状態に置かれたときほど勝負勘も冴えるし、しびれるような決断も可能になります。あのヒリヒリとした痛覚にも似た快い快感は勝負の中だけで味わえるものですからね。」

岡田「わかります。あの味を覚えると、勝負の現場を離れた平和で穏やかな日常の中では自分が無能体になってしまったような気がして、何か強い刺激が欲しくなります。それでまた懲りずに、どこかの監督をしたくなるんです。『ほんとうに生きている』という実感を求めてね。」



これはもう完全に・・・、カイジの世界じゃあないですか。目の前の勝ち負けをどうこう言う以前に、賭博師と同じ感覚で生きているという点にこそ、岡田武史と羽生善治の凄みを見たような気がする。









2013/11/30(土) | Books | トラックバック(0) | コメント(0)

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