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クラスメイトとの会話(中国編)

【硬め】
中国人の彼ら彼女らと話していていつも感じるのは、膨大な人口からくる激烈な競争だ。アメリカとは違った意味での競争社会がそこにあるように思う。例えば大学受験。一流大学を目指して猛勉強するのは、日本や韓国と変わらないだろう。だが、合格のボーダーラインにひしめく人数が圧倒的に違うわけだ。合格/不合格を決める1点差に、どれくらいの数が群れていると想像できるだろうか。だから彼らは、最後は運だと、思い切り割り切っているように感じられる。確かにそう思わないとやっていけないよな、この国では。

そして、その競争はずっと続くものなのだ。アメリカの大学院に留学するための競争があり、卒業後母国に帰るのならば、そこでまた熾烈を極めた就職競争になる。ストレスも相当なはずだが、彼らはそのストレスと一生付き合っていかねばならないからこそ、付き合い方そのものをうまく学んでいるのだろう。

中国への帰国について面白いと感じるのは、最近は中国人留学生の帰国熱が高まっているということだ。経済学の分野ではそれほどでもないように思うが、理学系や工学系の大学院生はその多くが、中国での就職を真剣に考えている。これは10年前にはなかったことで、その頃は何よりも就職してアメリカに残ることこそが成功の証だった。しかし、現在では、アメリカに残る成功もあれば、中国に帰ってからの成功もあると考える留学生が多いのではないだろうか。その背景には、片方ではアメリカの景気悪化と就職難があり、もう一方では中国の経済成長がある。

中国人留学生によれば、アメリカの企業に就職しても、トップに昇り詰めるほどには出世することは難しいという。(見えない)「ガラスの天井」とは若干異なり、明らかに目に見える壁なのだと言う。英語をネイティブスピーカーと同等に滑らかに話せ、かつ学業優秀な彼らであっても、その「壁」を超えるのは至難の業なのだそうだ。だからこそ、彼らは、成功の機会が一気に増えた母国に帰り、壁に阻まれることなく、自由に伸び伸びと上を目指していきたいのだ。

とはいえ、アメリカには中国人の経営トップや起業家も多いように感じる。そのことを聞いてみると、いつも「あぁ彼らはABCだからね」という答えが返ってきた。中国人留学生が言うABCとは、America Born Chinese の略で、中国系アメリカ人を指す。その"ABC" という言い方に、中国人クラスメイト達の複雑な心境を見るようだ。アメリカ生まれアメリカ育ちで、他のアメリカ人と同じ土俵で勝負できる中国人と、中国生まれ中国育ちであるためにその土俵に立つことも難しい中国人。ABCという言い方に羨望の気持ちがあるのは当然だが、それと同時に、ある種の蔑視のようなものを感じたのも事実だ。

この感覚は分かるようでいて、大事なところが分からない。それは恐らく、America Born Japanese が少ない日本と日本人が持つ特徴でもあるのだと思う。人口減少時代を迎え、日本でも移民受け入れについは議論されてきたように思うが、日本人が海外に移住することは今後どれだけ一般的になるのだろうか。中国人の友人と話しながらも、日本の今後、そして50年後100年後にはひょっとして ABJ という言い方がフツーに使われるような時が来るのだろうか、それはハッピーなことなのだろうか等と考えてみる。


【軟め】
中国人のクラスメイト達は皆そろいもそろって、日本のTV番組とともに育ってきた者ばかりだ。アニメ、ドラマから歌番組まで、いやぁよく知っているなぁと驚いてしまう。最近の番組だけでなく、古いものもよく知っているしね。下手するとこちらの方が知らないこともあったりする程だ。

もちろん韓国をはじめ、アジアの国はどこも日本のカルチャーびいきではあるのだが、中国人の熱はそれ以上のものがある。例えば、韓国人クラスメイト達は韓国映画も見るしハリウッド映画も見る。それに比べると、中国人の彼らは日本のモノの比重がより一層高いようなのだ。そういう意味で、初対面で挨拶して自己紹介して、その後簡単な雑談するのは、中国人の彼らとが一番簡単だったような気がする。彼らの方から、ドラマ『女王の教室』見たよとか、矢田亜希子の名前は日本語で何て読むのとか、木村拓哉は今も日本で人気なの、とか矢継ぎ早に質問されたりしてね・・・。

だからいつも疑問に思うのは、反日という感情だ。こういうクラスメイト達と一緒にいると、日常生活の中で嫌な思いをしたということがない。もちろん日中間の歴史について話せば、もっと本音の感情がぶつけられるのかも知れないが、少なくとも学生生活を過ごしている上では、そのような思いに直面したことがない。

もう一つ中国人の彼等とよく話す柔らかい話題は、食事だな。アメリカの食事はまずいね、やっぱりアジア人には向かないよね、というのが基本的なお決まりの会話パターンなのだが、それが飽きないほどに、残念ながらアメリカの食事のバラエティーは少なく、アジアの豊かさが強調される。毎日の変化に乏しい学生生活の中で、彼等と一緒に中華料理を食べに行くときほど、人生が輝いて見えるというのは、本当だゾ。

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2009/07/09(木) | Class | トラックバック(0) | コメント(0)

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