若き経済学者のアメリカClass ≫ クラスメイトとの会話(米国編)

クラスメイトとの会話(米国編)

アメリカ人クラスメイトとよく話すのが、アメリカの教育についてだ。以前にも書いたように、僕の学部にいるアメリカ人学生は、せいぜい全体の4分の1程度だ。学部によって差はあるだろうが、経済学部博士課程について言えば、アメリカ国内どの大学でも大概同じような比率ではないだろうか。

大学院に進学するよりも、金融業界やベンチャー企業に就職していく友達の方が彼らの周りにも多いだろう。となると、彼ら自身は、どういう(教育的)バックグラウンドで、将来に対してどういう志向を持っているのか、というのが気になるわけだ。そのことを聞いてみると、実際、学部の友人の多くは卒業後就職していったという。そして、大学院進学を選んだこのクラスメイト達に対し、「よくそこまで勉強する気になるね」とコメントしていくことも多かったようだ。

そんな「少数派」の選択をしたアメリカ人学生達にはいくつかの共通点がある。まずは家庭環境。半数近くの家庭が、父親もしくは母親が大学教授ということだ。何とも分かりやすいが、身近に働く姿を見て自分も、というパターンなのだろう。もうひとつ父親の仕事として多いのが、銀行員。それも、ウォールストリートで買収案件を手がけているようなバンカーではなく、地方銀行の融資担当といった銀行員だ。それ以外では、メーカーのエンジニアもある。要は、堅実な職業に就いていることが多い。その上で、両親は教育熱心で、本人も初等教育から学部課程まで比較的真面目に勉強してきた様子が伺える。

それが僕にはちょっと意外だった。もっと上昇志向の塊のような連中がいるかと思っていたんだよね。研究者として成り上がって、地位も名誉も収入も、みたいなね。ビジネススクールのファイナンス専攻Ph.D.学生には若干そんなニオイもするけれど、少なくともここ経済学部Ph.D.にはそんなカケラも見当たらない。それは平穏な環境である反面、ハングリーさに欠ける側面もある。

次に、アメリカ人学生の共通点として挙げられるのが、Ph.D.取得後の進路。アジア人学生が何が何でもアカデミックポストをと渇望しているのに対し、彼らの選択肢はもっと広い。例えば、FRBやIMF、世界銀行、シンクタンクといったところも、彼らの視野に入ってくる。その理由はいくつかあるだろう。一つは彼らがアメリカ人であり、英語ネイティブであり、こうした組織に就職する際に有利に働くことがあろう。しかしそれ以外にも、父親(母親)の背中から、アカデミックな業界特有の厳しさや醜さを知り、学位ほどには業界そのものに興味を持っていないということもある。その上で、アメリカ人ならではの楽観性もある。研究者としてではなく、大学で教育に従事したっていいじゃないか、という気持ちもあるように感じるのだ。

将来に対するこの考え方は、アジア人学生と比べ、いかにも対照的だ。アジア人の多くは、米国トップスクールに絶対就職しなくては。それができなかったときには、泣いて祖国に帰ります、という人が多い。おおいに結構なことなのだが、なんと言うか悲壮感が漂っているんだよな。そんなに思いつめなくてもいいんじゃないか、もっと気楽に行こうぜ。アメリカ人クラスメイト見てみろよ。成績悪くてもあんなに楽観的なんだゼ。だから、アメリカ人と話していると、アジア人留学生と話すときとは違う面白さがある。

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2009/08/15(土) | Class | トラックバック(0) | コメント(2)

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はっしー

『No title』

ファイナンス専攻と経済学部で結構色が違うのだね.
大体同じところと思っていたのでちょっと驚き.

FRBやIMFに興味がある人もいるんだね.マクロに興味があるんだね~.BISもその一つに入っているのかな.

ところでFRBは民間企業だという噂があるのだけれど,本当なのかな?FRBで働くということは,アメリカ国民のために働くのか,FRBの株主のために働くのかどっちなのか.

2009/08/16(日) 14:35:53 | URL | [ 編集]

tamago

『Re: No title』

Ph.D.取得後に FRBに就職する人は結構いるよ。その場合、研究・調査部門に配属になることが多く、実質的には大学に職を得るのとほとんど変わらないと聞きます。実際、マクロ経済の大学教授の中にも、FRBを経て大学に移ってきたり、逆に大学からFRBへというパターンもよくあります。

僕もFRBについてはよく分かっていないんだけど、民間企業ではないよね?? アメリカの中央銀行になるので、日本で言えば日銀に該当する組織です。だから、やっぱりアメリカ国民のために働くってことになるのかな。あと、留学生の中には、各国の中央銀行からの派遣生がけっこういますね。日銀をはじめ、韓国や南米各国などなど。

2009/08/17(月) 00:00:57 | URL | [ 編集]

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