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フェルメールの旅

フェルメールの光を求めて、ボストンのイザベラ・スチュアート・ガードナー美術館にやってきた。ボストン美術館から徒歩5分の至近にあるここは、大富豪夫人のイザベラが個人コレクションを展示する、15世紀ヴェネチア宮殿を模した3階建ての美術館だ。フリックに続き、イザベラよお前もか、と言いたくなるくらいの、申し訳ないが成金趣味で飾り付けられた館だ。フェルメールの作品がなければ、決して中に入ることはなかっただろう。

しかし、本当のことを言うならば、この美術館には今はフェルメールの作品がない。今はないということは昔はあったということだ。だが、いつかまた見ることができるかどうかは分からない。1990年3月18日深夜、フェルメールの「合奏」はこの美術館から盗まれたのだ。ボストン市警を名乗る2人組が現れて警備員に鍵を開けさせ、彼らを拘束した上で、フェルメールを含めた合計13点を持ち去った。史上最大の美術品盗難事件として大規模な捜査が進められたが、現在に至るまで盗まれた作品は一つも見つかっていない。

だから、この美術館にフェルメールの作品はない。ただ、当時展示されていた2階の同じ場所に、空っぽの額縁がかけられているだけなのだ。僕はその額を見に、ここにやってきたのだ。その中にあった作品、さらにその画の中に描かれていたであろう光に思いを馳せるために。この先「合奏」を見る機会はひょっとするともうないのかも知れない。しかし、世界には数少ないもののまだ何点かのフェルメール作品が点在している。僕はそれらを求めて、巡礼の旅に出なくてはならない気がしてきた。まずは彼が生まれたオランダだろうか、画家として頭角を現したデルフトの町だろうか。彼が描いた「小路」という風景画は、いまなおどの小路を指しているのか判明せず専門家のあいだでも議論が続いている。謎と魅力に溢れたこの作家を追って、次はオランダに行こうと思う。


フェルメール  ――謎めいた生涯と全作品  Kadokawa Art Selection (角川文庫) フェルメール全点踏破の旅 (集英社新書ヴィジュアル版)




2009/10/06(火) | Art | トラックバック(0) | コメント(2)

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Suzuka

『No title』

イザベラ・ガードナーは行ってなかったけれど、そこからフェルメールが盗まれてたんですね。知らなかったです。今度行ってみようかな。

日本のフェルメール展は、行ってました。いいでしょ。(って自慢だけ) ←

メトロポリタン編、「ウップ」とお腹いっぱいになってしまう感じや収集欲がニオイ立つ感じ、言い得て妙、さすがです。でも、ボストン美術館は何となく好きなのです。今は改修中で展示品もあまりよくないし、ミイラ展示もあるけれど、日本通のフェノロサが館長をしていたからか、親近感があるつくりなのです。

2009/10/07(水) 06:52:57 | URL | [ 編集]

tamago

『Re: No title』

> Suzuka さん

東京のフェルメール展、行かれたんですね。うらやましぃー。大混雑だったんでしょうか?
ボストン美術館が気持ちよい背景には、フェノロサ館長のご尽力があったのですね。なるほど。改修工事が完成した頃、ぜひまた行ってみようと思います!

2009/10/07(水) 07:19:41 | URL | [ 編集]

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