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今そこにある犯罪

アメリカの暮らしに不満があっても、衣食住は何とでもなる。いわゆる「住めば都」、というやつだ。しかし、どうしても馴染めそうにないのが、この国の犯罪の多さだ。それを思い知らせてくれたのが、ちょっと前の Economist の記事だ。性犯罪者を厳しく取り締まる法律の弊害と、ジョージア州の事例について書いている。

弊害の一つとして指摘されているのが有罪判断の厳しさと、それによる犯罪者数の増加。加えて、その性犯罪者の一人一人の情報をネットで公開するという政策が、むしろ最も注意すべき危険人物を、その他大勢の中に埋没させてしまう、というものだ。

そして、ネットでその情報を見てみたのだ(気が滅入るのでリンクは貼らないが、適当なキーワードで検索するとすぐに見つかった)。住所を入力すると、その周辺に住む性犯罪者の情報がいとも簡単に出てくるのだ。しかも、犯罪の分類ごとに地図上に色別でプロットされ、さらにクリックすると詳細情報が示される、という余りにもお手軽なユーザビリティで。

まず驚くのが、犯罪者の多さだ。地図上のプロットを見て、こんなにもいるのかと思わざるを得ない。もちろん、僕がいま住む大学周辺のエリアは治安はよいし、実際にプロットもない。ただ、エリアを変えてみたり、アメリカの他都市を見てみると、そのあまりのプロット数に、改めてこの国全体としての治安の悪さを実感する。

そして、続く驚きは、犯罪者の個人情報についてだ。本名、顔写真、犯罪の月日・分類、現在の住所・勤務先、と続く。あのハンバーガー屋でも一人働いているのか・・・ということまで分かってしまうのだ。

問題はこの後の対応だ。Economist 誌が指摘するように、その人それぞれがどれだけ危険なのか、という情報までは分からないのだ。そもそも、法の適用が厳しいがために、その行為も犯罪になるのか、という疑問のつく犯罪者もいるのである。しかし、それが分からない。だから、過度に不安が煽られる、という側面が確かにあるのだ。気にし出したらきりがない。近くに買い物行くときも、町の外に遠出するときも、そして旅行やビジネスで他都市に行くときも、毎回チェックしている人もいるのではないだろうか。そして恐らく、そういうストレスを溜め込み、お金で解決できるものなら、という人たちが、あのゲーテッドシティに引越していくのだろうと推測できる。

アメリカの暗部を覗き込んだようで、おそろしく気が滅入る。と同時に、情報の価値というものも考える。溢れる情報をサーチ・ソート・リコメンドする技術で、グーグルやアマゾンが市場を制したように、この犯罪情報を体系的に加工する企業も出てくるのではないだろうか。もちろんビジネスとして。それとももう既にあるのかしら。日本の暮らしからは考えられない程に犯罪が多いこの国で、何とか希望が持てるとするならば、そういうソリューションが続々と生まれてくるダイナミズムではないだろうか。

2009/09/20(日) | America | トラックバック(0) | コメント(0)

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